- シャーロック ホームズを読む順番
- 新潮文庫版と光文社文庫版との違い
まずは結論から.
- 緋色の研究
- 四つの署名
- シャーロック ホームズの冒険
- シャーロック ホームズの思い出
- バスカヴィル家の犬
- シャーロック ホームズの帰還
- 恐怖の谷
- シャーロック ホームズ最後の挨拶
- シャーロック ホームズの事件簿
シャーロック ホームズ.作家コナン ドイルが生み出した名探偵の物語は,56の短編と4の長編で構成されている.『緋色の研究』は1887年にはじめて世に出ていおり(書かれたのは1886年と考えられている),その後に同じく長編の『四つの署名』,短編集『シャーロック ホームズの冒険』と続く.
「シャーロックホームズを読もう」という人は,基本的に出版された順番で読んでいけば問題無し.なので推奨される順番は上記のとおり.
ちなみに長編から入るのに抵抗がある人は,短編集『シャーロック ホームズの冒険』から読み始めても全く問題ありません.短編集で面白いと感じたら,『緋色の研究』→『四つの署名』とチャレンジしても良い.短編が好きな人は,そのまま『シャーロック ホームズの思い出』と,短編集を発行順にを読み進みてもOK.
シャーロックホームズ は,どの順番で読めばいいのか!?【新潮文庫版】
新潮文庫には,諸事情により収録できなかった作品をおさめた『シャーロック ホームズの叡智』という短編集が存在します.1927年に,コナン ドイルが最後の書いた『ショスコム荘』もこの短編集に入っているので,新潮文庫でシャーロックホームズを読む人は,最後に『叡智』を持ってくるのが無難でしょう.
ちなみに,新潮文庫版の『シャーロック・ホームズの冒険』は昭和28年に発行されている.稀に「読みにくい」といった意見を見かけるものの,延岡 謙が翻訳したシャーロックホームズ作品は,個人的にぜひ読んでいただきたいと思っている.理由は,作品の持つヴィクトリア朝の持つ格調高い雰囲気が,延岡訳でうまく再現されていると感じるから.
以上をふまえて,新潮文庫版シャーロックホームズは,以下の順番で読むのをおすすめします.
- 緋色の研究
- 四つの署名
- シャーロック ホームズの冒険
- シャーロック ホームズの思い出
- バスカヴィル家の犬
- シャーロック ホームズの帰還
- 恐怖の谷
- シャーロック ホームズ最後の挨拶
- シャーロック ホームズの事件簿
- シャーロック ホームズの叡智
読む順番については,新潮文庫版のあとがきにも明記されているので,この順番で読み進めれば間違いないでしょう.
シャーロックホームズの探偵譚は短編集が五冊と長編が四冊ある.全部読みたい人には左記の原作発行順に読むことをおすすめする.
『緋色の研究』『四つの署名』『シャーロック・ホームズの冒険』『シャーロック・ホームズの思い出』『バスカヴィル家の犬』『シャーロック・ホームズの帰還』『恐怖の谷』『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』『シャーロック・ホームズの事件簿』
四六九ページで本書に割愛したと述べた二つの短編集は『シャーロックホームズの叡智』のなかにおさめてある.
シャーロックホームズシリーズの最後の作品は,1927年にストランド紙4月号に掲載された『ショスコム荘』.これは上記引用にあるとおり,新潮文庫版では『シャーロック ホームズの叡智』に収録されている.なので『シャーロック ホームズの叡智』を最後に持ってくるのが順番としては適切ということになる.
新潮文庫版のあとがきより引用
シャーロック ホームズ,「新潮文庫」と「光文社文庫」の違い
シャーロックホームズシリーズは,様々な出版社から発売されている.また,Kindleアンリミテッドを契約していれば,一部の作品は読み放題で読むことができる.
- 新潮文庫
- 光文社文庫
- 創元推理文庫
- 角川文庫
これだけ沢山の選択肢が用意されていると,シャーロック ホームズを読もうと思っても「どの順番に読めばいいのか??」と同じように,「どの出版社のシャーロックホームズを買えばいいのか??」という悩みが生まれてしまう.
結論から言うと,装丁や翻訳の雰囲気で直感的に読みやすいと感じた文庫を選べば良い.それすらも面倒と感じる人は,「新潮文庫」「光文社文庫」のどちらかから,以下の基準で選ぶとよいでしょう.
- 【新潮文庫】原作の雰囲気を忠実に再現した翻訳で読みたい人
- 【光文社文庫】海外翻訳独特の読みにくさが嫌い,読みやすい翻訳を好む人
前述のとおり新潮文庫版(延岡 謙 訳)は,物語の背景であるヴィクトリア朝の持つ格調高い雰囲気の文体が特徴だが,翻訳独特の読みにくさがあるので,人によっては堅苦しく感じるかもしれない.しかし,原作の雰囲気重視の人は断然新潮文庫がおすすめ.
光文社文庫は,新訳で誰でも読みやすいと感じる文章が特徴で,挿絵もあるので話をイメージもしやすい(新訳:比較的新しい翻訳という意味).一例だが,光文社文庫版は「メイド」と翻訳されているのに対して,新潮文庫版は「女中(じょちゅう)」と訳してある.参考までに『ボヘミアの醜聞』の最初の段落を,「新潮文庫」「光文社文庫」に分けて記載しておきます.Amazonでポチる方は,下記をご参照ください.
シャーロック・ホームズは彼女のことをいつでも「あの女(ひと)」とだけいう.ほかの名で呼ぶのを,ついぞ聞いたことがない.彼の視野の中では,彼女が女性の全体を覆い隠しているから,女といえば,すぐに彼女を思い出すことにもなるのだ.
『ボヘミアの醜聞』新潮文庫版より引用
シャーロック・ホームズにとって,彼女はつねに「あの女性(ひと)」である.ほかの呼びかたをすることは,めったにない.ホームズの目から見ると彼女は,ほかの女性全体もくすんでしまうほどの圧倒的存在なのだ.
『ボヘミアの醜聞』光文社文庫版より引用
新潮文庫と他文庫との違いについての補足
ちなみに,新潮文庫だけが全10冊なのに対して,ほか文庫は全9冊で構成されている.理由は,いくつかの短編集に諸事情で収録されていない作品を,最後に『シャーロック・ホームズの叡智』として発行しているから.
なので,光文社文庫や他の文庫でシャーロックホームズシリーズを読む人も,基本的にはこの記事で紹介した順番で読んでいたただいて問題ありません.なお出版社により多少タイトルも異なるのでご注意ください(例: 『シャーロック ホームズの思い出』が『シャーロック ホームズの回想』だったりする).
- 緋色の研究(長編)
- 四つの署名(長編)
- シャーロック ホームズの冒険(短編集)
- シャーロック ホームズの思い出(短編集)
- バスカヴィル家の犬(長編)
- シャーロック ホームズの帰還(短編集)
- 恐怖の谷(長編)
- シャーロック ホームズ最後の挨拶(短編集)
- シャーロック ホームズの事件簿(短編集)
- シャーロック ホームズの叡智(短編集)
※新潮文庫で読む人は『叡智』を最後に持ってくるのがベター.新潮文庫以外は『叡智』に該当する短編集は無い.
〈了〉
SourceNotes
- 『シャーロック・ホームズの冒険』新潮文庫
- 『新訳シャーロック・ホームズ全集 シャーロック・ホームズの冒険』光文社文庫