- 「すすめる」の使い分け
- 進める/勧める/薦める ←の意味と違い
- すすめるの使い分け事例
- 「奨める → 勧める」の補足
文章を書く人で,「すすめる」の使い分けを悩んだ経験のある人は多いと思う.
そう思う理由は,ブログを5年以上書いている僕自身が,今日の今日まで違いを理解していなかったからだ.(お恥ずかしい話である)
この記事では,「すすめる」という言葉の漢字表記と,それによる意味の違いを解説する.分かりやすいよう事例付き.
Source(情報元)には,『日本語の正しい表記と用語の辞典』と『大辞林(iPhone アプリ』『Google 日本語入力』を用いているので信頼いただけるだろう.
「すすめる ってどう使い分ければいいの??」とお困りの人の一助となれば幸いだ.
進める/勧める/薦める,使い分けはどうすればいいのか.
日本語の「すすめる」には,複数の漢字表現が存在する.
- 進める
- 勧める
- 薦める
- 奨める
↑の4つ,当然どれも「すすめる」と読む.
この他にも,「すすめる(平仮名)」「ススメル(カタカナ)」があるので,レビューを書いたりする人とは本当に大変である.
それぞれの意味の違いは下記のとおり.
まずはこれを覚える.そして「すすめる」と書くときは,息をするようにサクッと変換できるようになるとよいだろう.
進める | 前の方へいかせる 「車を進める」「議事を進める」 |
勧める | 誘いをうながす 「入会を勧める」「席を勧める」 『奨める』と書いても正解. |
薦める | ほめて用いるように説得する 「良書を薦める」「候補者として薦める」 |
奨める | 「勧める」同じ |
おそらく「進める」の意味を理解している人は多い.しかし「勧める」と「薦める」の違いや「勧める = 奨める」を使いこなしている人は少ないだろう.
進める には,「前の方へ移動させる」「仕事や計画をはかどらせる」という意味がある.
「前進する」といった熟語にも用いられるため直感的に理解できているだろう.
勧める には,「(物事への)参加をすすめる」「(相手に物を差し出して)その飲食や利用をすすめる」という意味がある.
「勧める」と「奨める」は同じ意味やニュアンスと理解してOK.
薦める には,「人/物などの良い点をのべて,採用するよう相手に促す」という意味がある.
「勧める(奨める)」と混同しがちであるものの,「推薦する」という言葉があるように『よい物だとほめる』というニュアンスがこちらには(より多く)含まれている.
Source(情報源)メモ
以上が,『進める/勧める/薦める』の使い分けと簡単な事例である.
これまでの記載した内容のSource(情報源)は,『日本語の正しい表記と用語の辞典』と『大辞林(iPhone アプリ)』を使わせていただいた.
記載されている内容を(自分なりに)分かりやすく編集したので,ここまで読んだ人は「すすめる」の用法でもう迷わないと思う.
ここからは,『Google 日本語入力』に書かれている用法を交えつつ,もうちょっと詳しい例文でさらに詳しく紹介していく.
進める/勧める/薦める,用法と具体例
- 進める > 前の方へいかせる
- 勧める > 誘いをうながす
- 薦める > ほめて用いるように説得する
シンプルに短く覚えたほうが記憶に定着しやすいので,改めて↑一言でまとめておく.
早速,3つの すすめる の具体的な用法を紹介しよう.
- コマを進める
- 交渉を進める
- 社内の効率化を進める
- 参加を勧める
- 読めと勧める
- ワインを勧める
- 座布団を勧める
- 退社するように勧める
- 健康診断の受診を勧める
- 候補者として薦める
- 新商品を薦める
- 適任者とし2人薦める
- 先生に薦められた辞書
Google 日本語入力の用例では,「勧める = 物について,良いとして採用を促す」「薦める = 物については,多く『勧める』とされる」と解説されている.
(あくまで個人の見解)本/動画/ガジェットなどをレコメンドするときは,基本的に「勧める」を使う.
良書や感動した動画,絶対に試してほしいガジェットを紹介するときは「薦める」を使う.
↑このように使い分けると,おすすめ度合いが相手により伝わると考える.
「すすめる(平仮名)」「ススメル(カタカナ)」の用法
出版業界の専門用語に「開く」という言葉ある.これは「言葉をひらがな表記する」という意味がある.
日本語には,漢字/ひらがな/カタカナ の3種類があるので,言葉の「閉じ開き」によって見た目(パッと見の印象)もずいぶんと変わるのである.
予備知識として,熟語は開くと変換ミスと思われてしまう.しかし,熟語以外の言葉は開くかどうかで文章全体の印象が変わる.
現代はウェブで文章を書く人が大半なので,「見た目の印象 = 漢字の閉じ開き」が重要になっている.
今回解説した「進める/勧める/薦める」も,状況によっては閉じ開きを考え,あえて「すすめる」「ススメル(ススメる)」と漢字を開いて使ってみるとよいだろう.
〈了〉
SourceNotes
- 日本語の正しい表記と用語の辞典 第3版(講談社校閲局編)
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