『不完全なレンズで 回想と肖像』ロベール ドアノー著,月曜社 #写真についての覚書

Photo : SMATU.net

本のタイトル: 不完全なレンズで 回想と肖像
著者: ロベール ドアノー(堀江 敏幸訳)
出版社: 月曜社(第4刷)
定価: 2,200円(+税)

『不完全なレンズで 回想と肖像』は,ロベール ドアノーのエッセイ集.基本的には彼の書いた文章がメインで,パリを愛した写真家ドアノーのエッセイが31話収められている.ぼくはドアノーの写真集は持っていないが,タイトルと装丁につられて先にこっちを購入した.

写真家のエッセイ集ということで,挿入されているドアノーの写真は以外と多く,すべて数えたら44点の作品が収められていた(カバー写真含む).50点未満とはいえ作品がこれだけ収録されているので,ドアノーの入門書として買ってみるのも悪くないと思う.写真を無断で掲載することはできないので,「収録されている作品のタイトル」「撮影年」「収録ページ」の一覧のみまとめておく.

見たい作品があれば,ぜひ実際の書籍を手に取って確認してみてほしい.これらの図版は,日本語翻訳で挿入されたもののようなので,翻訳者と出版社の読者への配慮に感謝したい.(本書に収録されているドアノーの写真はほぼモノクロなので,カラーで印刷されている作品にだけ「★」マークをつけておいた)

『不完全なレンズで 回想と肖像』に挿入されているドアノー作品
  1. ルイ ドゥ ブロイ 1943(14p)
  2. ジャンティイ 1942(19p)
  3. ジャンティイのビエヴル川 1945(20p)
  4. ピエール マッコルラン 1953(27p)
  5. 積まれた敷石 ジャンティイ周辺 1929(35p)
  6. エンリコ ポントレモーリと妻オルガ.レジスタンスのための地下印刷所 1945(36p)
  7. ルノー工場 1935(38−39p)
  8. プティ ポン広場のバリケード 1944(41p)
  9. モーリス バケ 1957(42p)
  10. ロベール ジロー 1953(44p)
  11. サン ドニ街(47p)
  12. ピエール デルロンと家族 1978(48p)
  13. ソール スタインバーグ 1955 (51p)
  14. ジョルジュ ブラッサンス 1953(61p)
  15. モントルグゥーユ通りの総菜屋ロジェ 1969(62p)
  16. レ アールとバタール市場 1967 (70−71p)
  17. サビーヌ アゼマ『田舎の日曜日』のセットで.1983(74p)
  18. ズーク バタクランの劇場で 1987(78p)
  19. サン スゴンでのサンドラール 1948(95p)
  20. ブレーズ サンドラール 1945(96p)
  21. DATARの依頼による撮影 1984(105p)★
  22. DATARの依頼による撮影 1984(106p)★
  23. ポール バラベ ジュヴィジィの列車の中で 1947(109p)
  24. ジャック プレヴェール 1955(114p)
  25. 蚤の劇場 1950(127p)
  26. 火吹き男 1965(128p)
  27. バレ氏の回転木馬 1955(134p)
  28. ビストロ「ラ ロシェルの4人の軍曹」1950(147p)
  29. ティクトンヌ通りの安食堂 1953(150−151p)
  30. ヴァランジュヴィルのジョルジュ ブラック 1953(160p)
  31. 独りのブラック 1953(162p)
  32. フェルナン レジェ 1954(166p)
  33. パブロ ピカソ 1952(169p)
  34. フランソワーズ ジローとピカソ 1952(170p)
  35. ピカソとカマキリ 1952(175p)
  36. ピエール ベッツ 1954(177p)
  37. ブランクーシのアトリエ 1960(178p)
  38. モーリス ユリトロ 1946(188p)
  39. ポール レオトー 1953(194−195p)
  40. ガストン シェサック 1952(211p)
  41. プレソワール プロンのフレデリック セロン 1953(212p)
  42. 壺の撮影 1972(258p)
  43. マクシミリアン ヴォクス 1944(260p)
  44. ミルクを買いに行く幼子たち 1934(カバー写真)

著者であるロベール ドアノー(1912-1994年)は,パリ南にあるジャンティイという土地で生まれ,その後を同じパリ郊外のモンルージュですごした.ジャンティイで撮影された作品は,本書にも数枚収録されているので興味がある人はそちらも見てみるとよいだろう(僕は『ジャンティイ 1942』がとても好き).

リトグラフの工房で働いた後,1931年に写真家に転向している.1912年に生まれているので,19歳の時点では写真を志していたのだろう.1949年(ドアノー37歳の時)に初の写真集『パリ郊外/La banlieue de Paris』を発表している.序文には,作家ブレーズ サンドラールの文章を添えられており,サンドラールの書籍は日本でも定価購入することができる.残念ながら『パリ郊外』は価格が高騰しているため,かろうじて手に入りそうな『芸術家たちの肖像』あたりから探してみようと考えている.

<了>

Photo : SMATU.net

SourceNote

Advertisements