「普通」について考えたこと.

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以前,「普通」について考えたことがある.普通とはなんだろうか?.色々と頭を悩ませた結果,当時の僕は普通を以下のように定義した.

ある事象やモノに対して,その文化圏に属している人々が抱く基準やイメージの平均値.

日本の場合,令和元年の調査では,男性の平均身長は170.6センチ,女性の平均身長は157.9センチである.なので,男性の身長で「普通くらい」と聞けば,多くの人は170センチくらいを想像するだろう.

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海外から帰国していた知人と話していて,会話の流れから「普通なんてないよ!」と,さも当然かのごとく諭されたことがあるけれど,僕はそうは思わなかった.「フツウ」という言葉が存在するということは,その言語圏では「フツウ」という概念が少なくとも存在しているということだ.

日本で辞書を調べれば「ふつう(普通)」は,こんなふうに解説してある.

いつでもどこにでもあって,めずらしくない・こと(さま).
ほかとくらべて特に変わらない・こと(さま).「ごく— 普の家庭に育つ」「— ならもう卒業している」
特別ではなく,一般的であること(さま).「— 高校」
⇔特殊

日本人は「普通」という言葉を日常的に利用するし,出版されている日本語辞典を調べれば,同じような内容で「普通」について教えてくれる.

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「普通なんてないよ!」と自信満々に語るその人を,僕は滑稽に感じてしまい,綺麗ごとや思想を語るだけの,なんとなく自分とは異なる価値観の人として距離をおくようになってしまった.

このような文脈において「普通なんてない」というのは,間違いだと思った.そこに「フツウ」は確かに存在している.

<了>

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