無題.(これはコンテンツと言えるのか)

その表面は灰色と白に彩られ,その容積はあきらかに半立方米を超えていない.側面に,ソフトホワイトスコッティ(R)フリーフォールドの文字がある.それは丁度四百枚の柔らかい白い紙を蔵していて,それらの紙の用途は購入者に一任されている.
今,私はその最初の一枚を引き出して鼻をかんだ.それは或る空間を占有している.だから当然時間という存在様式にも従っている.それは美しいのか醜いのか,私には断言できぬ.それが何であるか,私はすでに読者に語っただろうか?

引用: 『定義』谷川俊太郎著,「非常に困難な物(12p)」より

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