今回は,Nikon DfとAF-S NIKKOR 50mm F1.8Gの組み合わせの話です.
タイトルのとおりこの組み合わせは総重量が1キロ以下なので,長時間の散歩スナップやフォトウォークに最適のセットかもしれません.
今年,ずっと欲しかったニコンのDfを買った.
AF NIKKOR世代1本目のレンズとして選んだのは『AF-S NIKKOR 50mm F1.8G』.標準画角のオールドNIKKORを何本かレンズを持っているけれど,良く写ると評判のこのレンズをDfの相棒として購入することにした.
まずはレンズの所感から.
レンズを使い始めて1ヶ月も経過しておらず撮った写真は数千枚だが,評判どおりのレンズだと満足している.
Dfの画素数はおよそ1600万画素.2023年時点では低画素機と言われるかもしれないが,ニコンが開発から携わっている高品質なセンサーが使われているため,言葉では表現できないような良い色の写真が仕上がってくる.
そのようなセンサーが載ったカメラなので,AF時代のNIKKORとの相性も抜群に良い.
このレンズは開放F値が1.8なので同じ焦点距離のF1.2クラスよりはボケはしないが,開放から目立った収差も感じないレンズでF2.8くらいからは十分に実用的だと感じる.
日常的にスナップする自分にとって一番魅力的に感じたのは,その重さとサイズ.
レンズの重さは約190グラム.Dfと組み合わせても1キロを切る軽さなので,一日中持ち歩いていても疲れ知らずのコンビなのである.
【オートフォーカス/AF】スナップ撮影には十分対応できるAF性能を持っている
DfとAF-S NIKKOR 50mm F1.8Gの組み合わせは,安定したAF性能を発揮してくれる.街中でのスナップ撮影というシチュエーションにおいては,SWM(超音波モーター)による静音かつ迅速なフォーカスシングが非常に役立つ.
これまでZ6とZ50mm f/1.8のセットでも沢山スナップしてきたけれど,オートフォーカスの性能には正直そこまでの差を感じなかった.
最新のZ9やZ8のAF性能とは比較にならないかもしれないが,動体撮影や高速連写を求めない人にとっては十分なオートフォーカス性能だろう.
「クラシカルな往年のニコン機デザイン」+「(ある程度)高速なオートフォーカス性能」を享受できることは,この組み合わせの隠れた魅力かもしれない.
補足:『50mm F1.8G』の光学性能
光学性能についても少し触れておきたい.
このレンズは,前述したとおり予想以上にシャープな描写をする.
開放近辺ではやや柔らかさがあるものの,f2.8とf4.0でそれぞれ解像感が増し,細部までクリアに捉えることができる.
f8,f11 まで絞って撮ればFマウントの高価格帯のレンズとも,ほとんど見分けることができないほどシャープな描写をしてくれる.
カラーフリンジもほとんど気にならず,コントラストの高いシーンの撮影でも色収差の影響はほとんど目立たない.
YouTubeで写真家の上田家さんが『AF-S NIKKORの50mm f/1.4』や『AF-S NIKKOR 58mm f/1.4』と細かく比較してくれている動画があるので,気になる人はぜひご覧いただきたい.
光学ファインダー /OVF
この素晴らしい組み合わせの話をするうえで,光学ビューファインダー(OVF)の魅力についても触れなくてはならない.
Nikon Dfはデジタル一眼レフカメラの中でも視野率が高く,クリアなOVFを搭載している.これはスナップ撮影においても,非常に重要な要素.
OVFを通して見る世界は,電子ビューファインダー(EVF)を使用したときのように,電子的な遅延や解像度の問題に影響されることがない.
光そのものの真実を見ることができるため,被写体との距離感や光の質感をよりダイレクトに感じることができるのだ.
特に,暗い場所や動きの速い被写体を追いかけるとき,OVFのリアルタイムの反応速度と明瞭な視界は,おおきなアドバンテージを提供してくれるだろう.
さらに,DfのOVFは情報表示も豊富で,露出情報やAFポイント,露出補正値などをファインダー内で確認できる.これにより,目をファインダーから離すことなく撮影設定の変更が可能で,スナップ撮影の迅速性が大きく向上する.
ファインダーから視線を動かすことなく撮影に必要なすべての情報を得られるため,被写体から目を離すことなく,撮影のチャンスを逃さない.
AF-S NIKKOR 50mm F1.8Gのレンズが加わることで,普段のスナップ撮影がより直感的で感性豊かなひと時になっているような気がする.これは,デジタル時代におけるクラシカルな写真撮影の醍醐味を享受できる,最強の組み合わせと言えるだろう.
Nikon DfのOVFは,デジタルとアナログの境界を曖昧にし,フィルム時代の写真撮影の感覚を想像させてくれる.
ミラーレスのZ6から,一眼レフカメラのDfと技術を遡ってみて,フィルムカメラでも撮影したいと以前よりも強く思うようになっている.
デザイン/Design
最後に,デザインの相性についても触れておきたい.
Dfのレトロな雰囲気と,50mm F1.8Gの少しモダンな造りが予想外にマッチしていて,写真を撮ることそのものが楽しくなる.カメラがただの道具ではなく,撮影する喜びを増幅させるアイテムになっているようだ.
(ちなみに僕は,AF-S NIKKOR 50mm F1.8Gのスペシャルエディションではなく,普通の方を使っています)
これらのテクニカルな利点に加えて,何よりもこの組み合わせの持つ「持ち運びやすさ」と「即応性」は,日常のあらゆるシーンを捉えるスナップ撮影において,大きなアドバンテージとなるだろう.
街を歩きながら突如として目の前に現れるシーンに対して,すばやくカメラを構え,ピントを合わせ,一瞬の表情や動きを捉える.
そんな日常の一コマを,DfとAF-S NIKKOR 50mm F1.8G組み合わせはサポートしてくれる.
総じて,Nikon DfとAF-S NIKKOR 50mm F1.8Gは,持ち運びやすさ,デザイン,使いやすさの全てを兼ね備えた,スナップ撮影における強力なパートナーだと言えるだろう.
それはまさに,日常に溶け込む美しい瞬間を捉えるための,最強の組み合わせかもしれない.
<了>