写真の明るさのことを「露出(ろしゅつ)」と呼ぶ.自分が思ったとおりの写真を撮るための最初のステップは,撮影環境の光の強さを感じて,適正な露出でシャッターを切ること.
その光の測り方を決めるのが,測光モードの設定である.ニコンミラーレスカメラのZシリーズには,いくつかの測光モードがあり,使用者の好みや環境に応じて簡単に変更することができる(もちろん,測光モードや機能は,他メーカーのカメラにも備わっている).
撮影するシーンや被写体,または構図に応じて測光モードを使い分ければ,より正確に光の状況を把握して適正な露出で写真を撮ることができる.この記事では,ニコンのZシリーズのカメラの測光モードの設定方法や,各モードの違い,測光についての簡単な基礎知識を紹介する.
ニコンのZシリーズ: 測光モードの種類
測光モードは,画面内のどの部分の明るさを,どのように測定するかによって種類が分かれる.まずはZシリーズの測光モードの種類を知り,モードによる測光範囲の違いを理解しておこう.
この記事は,「カメラ=Z6」「ファームウェア= Ver.3.31」をベースに書いています.
- マルチパターン測光
- 中央部重点測光
- スポット測光
- ハイライト重視測光
マルチパターン測光
画面の広い領域を測光して,被写体の輝度(明るさ)分布,色,距離や構図など様々な情報を瞬時に分析する測光モード.そのために,見た目に近い露出を得やすい.通常の撮影では,基本的にこのモードに設定しておけば○.
中央部重点測光
- 画面中央部分を重点的に測光する.画面中央にメインの被写体を大きく配置して撮影する場合に適している
- 露出倍数のかかるフィルターを使うときには,中央部重点測光がおすすめ
- 測光範囲は,カスタムメニュー(b3)にある『中央部重点測光範囲』から設定変更が可能
スポット測光
- フォーカスポイントに重なる狭いエリア(φ4mm相当《※全画面の約1.5%》の部分)だけを測光する
- 逆光時や被写体の明暗差が激しいときなど,狭い範囲での露出を基準にして撮影したい場合に適している
- 測光エリアはフォーカスポイントに連動.ただし,AFエリアモードがオートエリアAFのときは中央のフォーカスポイントに相当する部分を測光する
ハイライト重視測光
画面のハイライト部分(一番明るい箇所)を重点的に測光.舞台撮影など,ハイライト部分の白とびを軽減して撮影したい場合に適している.
以上が,Zシリーズで設定できる4つの測光モード.
設定した測光モードは,撮影画面の左下にアイコンで表示される(モニター,EVFどちらも左下に表示).アイコンさえ覚えておけば,瞬時に今の測光モードを知ることができ,iメニューやカスタムボタンに割り当てておくことで,すぐに状況に合わせた変更も可能.
測光モードを設定する
測光モードは,デフォルト設定であれば「iメニュー」から変更が可能.カスタムボタンに割り当てておくことで,状況に合わせ瞬時に変更することもできる.カスタムボタンの割当があまっていて,測光モードをこまめに変える人は,カスタム設定を変えておくほうが便利だと思う.
測光モードの詳細設定を変更する
一概に,写真を適正な露出(明るさ)で撮るといっても,適正の基準は人によって異なる.
(僕は)根暗な性格なので,アンダーめ(暗め)の写真が好み.路地や石ころなどアンダーで撮影した写真を見て,ひとりでほくそ笑むことが多い.逆にポートレートを撮影する人や,明るめの写真が綺麗だと感じる人は,気持ち露出オーバーめに撮影したいと思う.
ニコンのZシリーズのカメラでは,「基準露出レベル」として,測光する基準値そのものを調整することができる.露出補正の機能とは異なり,基となる露出の基準を変更する設定である.
まとめ: 測光モードは意外と学ぶべきことが多い,ぜひ理解しておこう.
こうしてまとめてみると,測光モードについて理解しておきたい項目が,意外と多いことが解ると思う.僕もZを使いはじめて1年が経ったが,測光モードをあまり使いこなせていなかったことに気付かされた.
この記事を読んで,1つでも新しいことを覚えることができた人は,ぜひ実際の撮影で測光モードを色々と変更してみて,自分にあったスタイルの撮影方法を見つけてほしいと思う.
僕の場合,推奨されているマルチパターン測光ではなく,「中央部重点測光」を使って写真を撮っている.マニュアルレンズを使って撮影することが多いため,最初に中央に撮りたいものを持ってきて露出を合わせ > その後構図を決めてからシャッターを半押しにし(シャッター半押しにAEロックを割り当てている) > ピントを決めてからシャッターを切る,というステップで写真を撮っている.
基準露出レベルはデフォルトから変更せず,マニュアルでアンダーめに合わせて撮るようにしている.
〈了〉