【宮崎光学】『Vario Prasma 50mm F1.5』絞りを調整できない不具合を直す方法

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Photo : SMATU.net

今年の3月,宮崎光学さんの『Vario Prasma 50mm F1.5』をヤフオクで購入しました.

『Vario Prasma 50mm F1.5』は,パウル・ルドルフ氏が設計した『kino-plasmat / キノプラズマート』という幻のシネレンズをベースに作られたレンズ.kino-plasmat独特のソフトな描写を残しつつ,現代らしく使いやすいレンズに改良されているのが魅力です.

購入してからはVario Prasmaの描写がいたく気に入り,ほぼこのレンズを使って撮影.もはや手放すことのできないレンズになりました.

ところが…

購入後3ヶ月くらい経ったある日.突然,F値を調整するレバーがスカスカになり,絞り羽根が(ほとんど)動かなくなるトラブルが発生.もちろん,レンズを落としたりぶつけたりするなど,故障の原因となる負荷もかけていません.

その後,レンズの構造を調べたり,購入元のショップに問い合わせたりするなど,色々と試した結果,精密ドライバーでネジの緩みを直すことで問題は解決しました.

『Vario Prasma 50mm F1.5』は玉数が少ないせいか,ネット上に情報があまり出ていません.同じトラブルを抱える人の参考になるかもしれないので,画像つきで不具合の状況と改善方法を解説します.

宮崎光学の『Vario Prasma 50mm F1.5』F値調整ができないトラブルに遭遇.

『Vario Prasma 50mm F1.5』の仕組みを簡単に解説

宮崎光学さんの『Vario Prasma 50mm F1.5』は,マニュアルフォーカスのレンズです.『kino-plasmat / キノプラズマート』という幻のシネレンズをベースに設計されたレンズで,独特のソフトな描写がとても魅力.

使い方はやや特徴的で,レンズ先端の鏡胴を回すことで,ボケ味を調整することができます.このボケ味を好みの感じに調整しつつ,それとは別でヘリコイドを回してピントを合わせて撮影します.

鏡胴でボケ味を調整するとピントもズレるので,最初は苦労します.しかし,慣れると気分や被写体によってボケ感がコントロールできるので,撮影がとても楽しくなるレンズです.

F値 / 絞り値は,1.5〜16の範囲で調整することができ(Vario Prasma 50mm F1.5の場合),レンズ中央のレバーを動かすことで,これに連動して絞り羽根が動く仕組みになっています.

【仕組み1】先端の鏡胴を回して,ボケ感を調整する
【仕組み2】ヘリコイドを回して,ピントを合わせる.
【仕組み3】絞りのレバーを動かして,F値を変える.

まとめると,宮崎光学『Vario Prasma 50mm F1.5』は,

  • レンズ先端の鏡胴
  • ピント調整
  • 絞り値 / F値

3つのバランスを調整して,写真を撮影するレンズということになります.

今回,この中の「絞り値 / F値」で不具合が発生しました.具体的には,F値調整するためのレバーを動かしても絞り羽根がほとんど動かず,F値を変更することができなくなった,という症状です.

マニュアルレンズにおいて,F値を調整できないのは致命的.不具合に気づいた時は,かなり気分が落ち込みました.

絞りのレバーを動かしても,レンズの中にある絞り羽根が正常に動かなくなってしまいました.
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【宮崎光学】『Vario Prasma 50mm F1.5』絞りを調整できない不具合を直す方法

落ち込んでいても仕方ないので,まずは症状を細かくチェック.以下のような状況であることが分かりました.

『Vario Prasma 50mm F1.5』絞りを調整できない不具合,詳しい症状
  1. 絞り値を調整できない
  2. 絞りのレバーを動かしてもスカスカ,絞り羽根もほとんど動かず
  3. 絞りのレバーが,微妙に上下にグラグラしている
  4. 先端の鏡胴をポイント2よりも左まで締めると,絞りレバーのスカスカが改善する
  5. 先端の鏡胴をポイント2よりも左まで締めて絞りレバーを動かすと,絞り羽根が正常に動く

色々と試した結果,(4)(5)にあるとおり先端の鏡胴を深くまで(ポイント2よりももっと下まで)入れると,症状が改善することが分かりました.これは怪しい.

先端の鏡胴をポイント2よりも,もっと左まで締めると,絞りのレバーのスカスカが無くなることに気づく.
先端の鏡胴をポイント2より左にして絞りのレバーを動かすと,絞り羽根が動くようになる.

『Vario Prasma 50mm F1.5』の設計をよく見ると,「これはどこかが緩んでいるのではないか??」と仮説が頭に浮かびました.少し前に,ピント調整用のレバーのネジも緩んで外れそうになったことがあったので,ネジが緩みやすいレンズなのかもしれません.

付属しているレンズの説明書(手書きなのがいい).
説明書をよく見ていると,どこかが緩んでいるのが原因のような気がしてくる.
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Amazonで精密ドライバーを購入する

カメラレンズ用の精密ドライバーは持っていなかったので,とりあえず使えそうなものをAmazonで購入.

2日後には自宅に届きました.(しかも価格は,1,000円ちょっと.レビューにも「コスパよし」との意見が沢山)

Amazonで購入した,精密ドライバー.(1,000円くらい)
かなりコスパが高いと,レビューでも好評でした.

絞りレバー付近にあるネジ(3箇所),これを締め直すと症状が改善

レンズの外観には,1mmくらいのマイナスネジが9ヶ所確認できます.とりあえず,このネジから締め直すことにしました.

9ヶ所のネジほぼ全てが,少し緩んでいる状態.なので2〜3周くらいクルクルとネジを締めてみることに.

これに入っている,1.5mmのマイナスドライバーを使って,緩みを直してみることに.

ると…!!

F値のレバーが動かせないほど固定され,微妙に上下にグラグラする症状が改善しました.「恐らく,締めすぎたことが原因だろう」と考え,1〜1.5周分くらい今度はネジを緩めてみます

予想どおり,F値のレバーが動くようになりました.あとは1/2周分…,1/4周分…といった感じで,ネジを細かく締めたり緩めたりを繰り返します.

その結果,Amazonで購入した精密ドライバーだけで『Vario Prasma 50mm F1.5』絞りを調整できない不具合を直すことに成功しました.※原因は,下の画像のネジの緩みでした.(3ヶ所あります)

Amazonの精密ドライバー,ありがとうm(_ _)m

原因は,この部分のネジの緩みでした.
この部分のネジ3ヶ所を調整すると,絞り羽根が調整できない不具合が解消.
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まとめ : 精密ドライバーがあれば,『Vario Prasma 50mm F1.5』絞りを調整できない不具合は修理が可能(しかし修理は自己責任で)

ということで,『Vario Prasma 50mm F1.5』の絞りを調整できない不具合は,精密ドライバーがあれば,素人でも修理することが可能です.

修理はネジを締め直すだけなので簡単ですし,精密ドライバーは1,000円くらいで購入できます.

ただ,カメラレンズは作りが複雑なので,素人が下手に触ってしまうと致命的なトラブルに発展する可能性もあります.くれぐれも個人で修理をする場合は,最悪のケースを覚悟したうえで,自己責任で行うようにしましょう.

今回,購入元のカメラショップに問い合わせたりもしたのですが,そこのご担当者の方からも,同様のことを言われました.

店舗側といたしましてはできる限り、そのままの状態を保持していただきご返送をしていただければと存じます。

ユーザー様での修理や手直しなどの痕跡が見受けられる場合は修理対象外の恐れがございますのでご連絡をさせていただきました。

購入先カメラショップの返答文より抜粋

以上,『Vario Prasma 50mm F1.5』の絞りを調整できない不具合の詳細と,それを修理する方法のご紹介でした.

同様のトラブルでお困りの方の,参考になれば幸いです.

『Vario Prasma 50mm F1.5』独特のソフトフォーカスがいい感じ.
これからも大切に使います.

SourceNote

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