ミステリー小説の楽しみ方は様々.「フーダニット」「ハウダニット」「ホワイダニット」と言われるように,誰が,どうやって,なぜ犯行を行ったのか考える醍醐味もあれば,いちいち犯人を予測するなんて面倒くさいことせずに純粋に物語を楽しんでもいい.散々犯人や犯行方法を考え抜いた挙句,思いっきり作者に騙されるのも一興だと思う.
- Who done it(フーダニット):誰が犯行を行ったか
- How done it(ハウダニット):どうやって犯行を行ったか
- Why done it(ホワイダニット):なぜ犯行を行ったか
僕は『方舟』を読み終えて,ホワイダニット(なぜ犯人は犯罪を行わねばならなかったか?)の名著だと感じた.ホワイダニットで面白い作品といえば,『ABC殺人事件(アガサ クリスティー著)』『火車(宮部みゆき著)』あたりが頭に思い浮かぶが,『方舟』は間違いなくホワイダニットの傑作ミステリーとして記憶に残り続けるだろう.
帯にも以下のようにコメントされているが,ホワイダニットと様々な要素が精巧に絡み合った素晴らしい国内ミステリー小説だと思う.
「ソリッドシュチエーション」と「カルネアデスの舟板」と「なぜ殺したのか(ホワイ・ダニット)」の精妙緻密.この書を手に取るものに至福の呪いあれ.
2022年に発売されSNSでも話題になっていたようだが,ネタバレに一切触れることなく最後まで読めたことはとても幸せだった.ミステリー小説好きで本書を未読,かつ事前の情報をもっていないのであれば,すぐにでも本屋に走って行き読み始めることをおすすめします.
SourceNote
[quads id=3]