僕は,Nikonのカメラ『Zシリーズ』のデザインを「かっこいい」と感じている中の一人.Zシリーズのカメラは,マウントの設計にはロマンがあり,ボタン配置など細部に至るまで合理的に作られている.実機を使ってみると,洗練されていることが実感として解ってくる.
Zレンズ(特に単焦点の35mm〜)を付けたときは上下左右どこから見てもバランスが良く,グリップから軍艦部にかけてのS字ラインは何度も指先で触れてしまうほどに美しい形状をしている.カメラを使うたび,ニコンユーザーになって本当に良かったと感じている.
PHOTO YODOBASHIさんの記事が,その洗練されたデザインについて解りやすくかつ情熱的に解説してくれているので,Zシリーズのデザインに対して興味がある人はぜひ読んでみてほしい.
PHOTO YODOBASHI: 良いカメラほど、触ってわかる佳さがある – Zの感触
では本題.
上記の記事の中に,気になる一節を見つけたので,実際に自分のカメラの設定を変更して試してみた.
ZのEVFの素晴らしさはこれだけではありません。ご覧いただいたように、なんとファインダー映像を露出やホワイトバランスを「反映させない」ようにも出来るのです。
PHOTO YODOBASHI: 良いカメラほど、触ってわかる佳さがある – Zの感触
結論,マニュアル露出に慣れている人であれば,「Lvに撮影設定を反映」をオフにすると,一眼レフの光学ファインダーを覗いて写真をとっているような気分になり,Zでの撮影体験が一層楽しくなると感じた.
「EVFやモニターに撮影設定を反映させないなんて,ミラーレスを使っている意味がない」と謎に感じるかもしれない.しかし,適正露出を考えて撮影し,予想通りの写真が撮れたときの気持ちよさは,スマホやミラーレスカメラでは絶対に感じることができない撮影体験.この快感を眼と脳が覚えてしまうと,抜け出すことはなかなか難しい.
「そんな感覚を知っても無意味」という否定的な声も聞こえてきそうだが,無意味なことに価値を見出す『ダダイズム』のように(ダダイズムの解釈としては雑ですがご了承ください),理解できる人にはこの感覚の尊さが解ると思う.紹介したPHOTO YODOBASHIさんの記事を書いた方も,同じようなことを言っている.
「撮影設定を反映させてこそのEVFでしょ」と思ってしまうのですが、一度、反映させずに(メニューから「Lvに撮影設定を反映」を「OFF」にします)覗いてみてください。ちょっと黄色がかった懐かしい感じで、色味的にも一眼レフの光学ファインダーを覗いているような気分になりませんか?つまり「デジタル臭さ」が無い。これなら目への負担も軽くなり、撮る意欲が沸々と湧いてくるのではないでしょうか。
PHOTO YODOBASHI: 良いカメラほど、触ってわかる佳さがある – Zの感触
気になる設定方法だが,カスタムメニューの「d 撮影・記録・表示」の中にある「d8 Lvに撮影設定を反映」から,簡単に設定を切り替えることができる.
「Lvに撮影設定を反映」をオフにすると,ホワイトバランスや露出の変更がEVFやモニターに反映されず,一眼レフカメラのファインダーを覗いているような感覚で被写体に集中することができるようになる.
さすがに適正露出を知らせてくれるメモリまでは無くならないが,この設定をオフにしておくとミラーレスカメラの持つデジタルさが少し消える.そして,写真に残そうとするモノや空間の光を身体で感じ,その瞬間に合わせた設定を真剣に考えることができるようになってくる.
「なんだろう,その感覚は」と?に感じた人も,騙されたと思って一度試してみてほしい.「Lvに撮影設定を反映」をオフにする事は,カメラの進化で人が忘れてしまおうとしている感覚を取り戻させてくれるのである.
〈了〉