【宮崎光学】MS-OPTICS VARIOPRASMA 1.5 50 マニュアル / #写真機初学者のメモ帳

Photo : SMATU.net

宮崎光学さんのレンズを購入すると手書きの(といっても手書きをコピーしたもの)マニュアルが付いてくる.宮崎光学さんらしくて気に入っている.

ただ,ネット上には情報が少なく,外出先でマニュアルを確認できないのはやや不便.最近『VARIOPRASMA 1.5 / 50』を頻繁に使っているので,個人用としてマニュアルをテキスト化させていただきました.

書かれている文章は,読みやすいように独自の感覚で改行させていただいたり,表記を統一したり,言い回しを変えたりしています.あしからず.

以下は,すべて『MS-OPTICS VARIOPRASMA 1.5 50』の手書きマニュアルの内容.

宮崎光学さんのレンズには手書きの説明書が付属する.

MS-OPTICS VARIOPRASMA 1.5 / 50 マニュアル

Leica Mマウントの軽いレンズ.

KINO・PRASMAT 1.5/50は,P.RUDOLPH(パウル・ルドルフ)が1922年に開発.50mmはシネ用レンズとして作られ数が少ない.その独特のSoft描写により超高価で売買され入手が難しい.

20年間で約30個のLeica Mマウントに改造した.球面収差は左へ大きくふくらみf/1.5で0にもどる.非点収差はSとMを左右に分けることにより平坦像を得ており,このため後ろで円周状,前で放射方向に大きく像の流れが発生.これらによる独特なSoft画像は現在のレンズでは得られない.

私のコンセプトは,このくせを残しつつより使いやすいレンズに改善することにある.当時のバリュームガラスに変えランタン系高屈折ガラスを採用.球面収差,非点収差を改良した.球面収差はレンズを動かし可変出来る.非点収差のS・Mの隔差は像面を少し湾曲させ像がより円形になるように改良,品格あるくせ玉レベルに仕上げることが出来た.

レンズの前のリングをP6〜P2へ回しSoftレベルを変えられ,P6ではKINO・PRASMATの球面収差のふくらみが得られ,4で非点,特にコマ収差がベストで軟調さを残しつつ全面で良像となる.P2ではSAのふくらみは大幅に減り,F2.4あたりでフレアがなくなり中心から中間部までシャープさが出てくる.

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レンズ仕様

型式キノプラスマート型 4群6枚構成 f1.58/52mm フルマルチコート,SA可変.6Possionのみフォーカス連動.P5〜P2は非連動,ミラーレス一眼でピント合わせして下さい.

参照図-1
参照図-2

KINO・PRASMAT 1.5 / 50 と改良テクニカルサポート

1922年Mayerから発売された大口径シネレンズである.

球面収差=SAはマイナス方向に大きくふくらみ,f2から反転開放で0へもどる.このため結像サイズは40ミクロンと大きくMFTミリ40本で0.15.ソフトフォーカスレベル.6枚のレンズを使いながら結像パワーのある凸レンズがわずか2枚であること.当時使用可能な硝材の屈折率が低いことに起因する.

非点収差=ASTとペッパルの値は0.6と今日のレベルで0.1〜0.3の3倍も悪い.もしも非点収差ゼロとしてA(A+○)するとLeica Fullサイズコーナーで1.6mmの大きな湾曲が発生し周返のピントが合わない.非点収差を無視してSとMを大きく分けるB(B+○)にして,平面像が得られる.しかし画角が大きくなるほどS.Mの開き=非点隔差が無くなり大きく芯のない円形になるが解像力は低い.後ろで像がー状(横棒状)に,前で|状(縦棒状)になり見苦しい流れになる.俗に言うグルグルボケである.

KINO・PRASMATの改良.

高屈折硝子を凸レンズに使いSAを30%改良,前1群レンズのわずかな移動でPossion6〜2まで好みのシャープさが得られる.これは容易であったが非点収差の改良はレンズ形状の特殊さからペッツバール値いが小さくなりづらい.

0.6→0.4が限界.しかし非点収差がレンズ間隔を変えられ球面収差可変を利用,P6でASTベスト,P4でコマ収差ベスト,P2で像湾曲最小に設計.

Possion6〜2までのレンズ特徴と欠点(下図参照)

P6は,KINO・PRASMATに近い軟い中心像.中間部からは像面湾曲による像の軟化.しかし非点収差=0からピントが合った所でシャープな円形像に.P6でのみライカM連動に調整してある.

P5→P2,中心の像サイズは35μ→15μ(P2)とシャープネスが高まる周辺像はS.M平均で湾曲は減りP2で十分ではないが補正.しかしS.Mの非点収差は大きくなり像は|状ー状にキノプラズマートの1/2くらいまで悪化する.また開放〜f/2で大きく渋いフレアが増大.設計終わって気付く.

最大の改良は全面マルチコートであり=ハイコントラストと発色の良さであったと感じた.

参照図-3
参照図-4
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補足メモ

MS-OPTICS VARIOPRASMA 1.5 / 50 の手書きマニュアルに記載されている内容は以上.

(僕自身に)レンズ設計に関する専門的な知識が欠けており,読んでも理解できない箇所がところどころある.お気に入りのレンズなので用語の意味を調べつつ,使いこなせるようになりたいと思う.

(非常に良い意味で)くせ玉なので,これからも愛用していくつもり.

MS-OPTICS VARIOPRASMA 1.5 / 50で撮影した写真

最後に,最近撮った写真を数枚載せておきます.

〈了〉

SourceNotes

  • 宮崎光学『MS-OPTICS VARIOPRASMA 1.5 / 50』
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