ザ・マインドマップ,トニー・ブザン著 #感想 #口コミ #マインドマップ

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「Mind Map(マインドマップ)」という言葉.

見たこと,聞いたことがある人は多いと思います.「テキストやイラストを枝みたいに伸ばしていき,考えをまとめたりするメモ術」←これくらいの認識を持っている人が,およそ8割くらいだろうと勝手に予測しています.

なので,日常的にマインドマップを使っている人(書いている人)は,ほとんどいないでしょう.

『ザ・マインドマップ』の要点をまとめたマインドマップ.

マインドマップは『ザ・マインドマップ』の著者トニー・ブザン氏が発明した,記憶力と発想力を高められるノート術のこと.今では,150カ国以上でマインドマップに関する書籍が出版され,何億人もの人々がマインドマップを愛用しています.

マインドマップは,アイデアをまとめたり,読書ノートをつくったりすることに利用されています.驚いたのが,アートとしてマインドマップを創るクリエイターがいることです.本書では,そんなマインドマップの可能性や活用法を,いくつも学ぶことができます.

「マインドマップを作りたいけれど,どうやって書けばいいのだろう」こんな疑問を持っている人は,『ザ・マインドマップ』を読めば解決します.『ザ・マインドマップ』は,マインドマップの入門書であり,上達のヒントの詰まった良書です.

マインドマップの基礎と応用どちらも学べる書籍.

一般的なノートに欠けている要素と,マインドマップが優れている理由.

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人間の脳は,以下のようなことを記憶しやすいことが,研究で証明されています.「初頭効果」は有名なので,知っている人も多いでしょう.

学習過程で,脳は次のようなことをおもに覚えていることが,研究で明らかになっている.

– 初頭効果(学習時間のはじめに学んだこと)
– 親近性効果(学習時間の終わりに学んだこと)
– すでに記憶した事柄やパターンに結びつくことや,そのときに学んでいるほかのことに関連するもの
– 他に存在しないなどが理由で,強調されたもの
– 五感に強く訴えるもの
– 特に関心があるもの

ザ・マインドマップより引用

しかし,我々がとる一般的なノートには,脳が記憶するために大切な要素が欠けています.一般的なノートは,「言葉,数,線,リスト,論理」といった要素は含まれるものの,大脳皮質がつかさどる様々な機能を網羅できていません.

標準的なノートに欠けている,重要な要素.
  • 視覚的リズム
  • 視覚的パターンなど,何かしらのパターン
  • イメージ(絵)や想像
  • 視覚化
  • 次元性
  • 空間認識
  • ゲシュタルト(全体性)
  • 連想

マインドマップには,リスト化した重要な要素がすべて含まれます.また,マインドマップは,中心にあるセントラルイメージ(コアとなるキーワード)から,ノートが放射状に広がっていきます.人間の脳も放射思考なので,考えをまとめたり記録したりするのにマインドマップは適しています.

『ザ・マインドマップ』では第1部で,脳の機能に関連して,どうやってマインドマップが発明されたのかを解説してあります.「マインドマップがなぜ良いのか」,これを納得してからマインドマップを学びたい人は,第1部をパラパラと立ち読みしてみるとよいでしょう.

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マインドマップもたくさん書かないと意味がない.まずは書き方と活用方法を知ることが大事.

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どんなツールにも共通すること,それは「使わないと上達しない」ということです.そして,間違った使い方を最初に覚えてしまうと,時間が無駄になります.

マインドマップを正しく使い,効果を実感するためには,マインドマップの基礎をおさえておく必要があります.『ザ・マインドマップ』には,50以上の(マインドマップの)実例が掲載されているため,様々なケーススタディを知ることができます.

文章を読むより,本の中で紹介されているマインドマップをじっくり眺めたほうが,書き方を習得できる.それくらい豊富な事例が載っています.本を数回流し読みしつつ,掲載されているマインドマップをしっかりと見て,まずは1枚目のマインドマップを自分で書いてみましょう.

書いてみると,簡単そうに見えるマインドマップを,意外と自分が書けないということが分かります.そこから,本の内容⇔最初のマインドマップを往来してください.初めのマインドマップは,15分くらいでカタチになりそうなシンプルな内容がベターです.

マインドマップを書くツール

今はとても便利な世の中なので,マインドマップを書くためのツールをすぐに手に入れることができます.いくつか有名なツールを挙げておきます.

マインドマップを書くツール
  • 紙(またはノート)とカラーペン ※用紙はA4以上を推奨
  • MindNode(マインドノード)
  • iThoughts(アイソーツ)
  • concept(コンセプト)

MacやiPhone,iPadを使ってマインドマップを書きたい人には,「MindNode」「iThoughts」「comcept」の3つがおすすめです.この記事に添付してあるマインドマップは,マインドノードを使って作りました.(最近のお気に入り)

デジタル × 手書きでマインドマップを書きたい人は,ぜひcomceptを試してください.無限キャンパスなので,延々とマインドマップを書き続ける(広げていく)ことが出来る貴重なアプリです.

マインドノードもコンセプトも無料で利用でき,有料プランも良心的な価格設定です.マインドノードは月額280円,comceptは550円(どちらも月額)で利用できます.それぞれトライアル期間もあるので,気に入った場合は有料プランを検討すると,マインドマップをより楽しみながら作成できます.

この記事のマインドマップは『MindNode(マインドノード)』で作成.
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まとめ: 自分に合ったマインドマップの作り方を発見する.

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『ザ・マインドマップ』を最初に読んで,一番役に立つと感じたのはマインドマップでつくる読書ノートのテクニックです.145ページと,190ページで紹介されています.内容をそのまま,引用しておきます.

本のマインドマップをつくるテクニック
  1. 全体にざっと目を通し,構造をつかむ
  2. 学習時間と,その時間内に扱う量を決める
  3. 学習テーマについて知っていることをマインドマップにする
  4. ミニマインドマップをつくって,その学習時間の狙いや目的を定める
  5. 概要をつかみ,新しいマインドマップのセントラルイメージとメインブランチ(基本アイデア)をかく
  6. 「下読み」する.概要をつかむまでの段階では対象にしなかったすべての資料に目を通す
  7. 「本読み」する.問題を特定し,難しい部分は読み飛ばす.マインドマップに書き足す
  8. 「仕上げ読み」をする.前の段階で飛ばした部分や問題に戻る.マインドマップを完成させる

ポイントは,本を数回に分けて読むことと,併行してマインドマップに要点をまとめていくこと,この2つです.以下のような習慣がある人は,これを機会に本の読み方を変えてみることをお勧めします.

  • 本を最初から丁寧に読む習慣がある人
  • 本を読むときメモをしない,または付箋を貼るだけの人

本の中身を一度で覚えようとしない,内容を少しづつマインドマップにまとめる.こうすることで,これまで以上に読書が捗り,内容が記憶に定着しやすくなります.

『ザ・マインドマップ』で紹介されている様々な事例を参考にして,自分に合ったマインドマップの作り方を見つけてください.

著者紹介: トニー・ブザン氏,バリー・ブザン氏

『ザ・マインドマップ』の著者は,トニー・ブザンさんとバリー・ブザンさんのお二人.二人とも素晴らしい経歴をお持ちなので,気になる人は本書を手に取り,カバーのそで(内側の部分のこと)をチェックしてください.

  • トニー・ブザン > マインドマップの発明者
  • バリー・ブザン > ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授(トニーの弟)

『ザ・マインドマップ』を読むと,トニー・ブザンさんがどれほどマインドマップを愛し,書くことを楽しんでいるかが分かります.デジタルでマインドマップを書こうと考えている人も,紙のノートとカラーペンで,マインドマップをつくってみたくなるかもしれません.

楽しそうにマインドマップを披露している氏を見ると,手書きのマインドマップを作りたくなる.

『ザ・マインドマップ』価格や電子書籍の有無についての情報

『ザ・マインドマップ』の本体価格は,2,200円(税込み2,420円).電子書籍派の人にとっては残念な情報 → Kindle化されていません.また,文庫版のように携帯しやすいバージョンも未発売です.

しかし,カラフルなマインドマップが複数掲載されていることもあり,紙で購入した時の満足度は高い本です.価格はやや高め,なので購入を躊躇するかもしれません.ただ,マインドマップを勉強したい場合は,コストパフォーマンス抜群の買い物と言えます.

〈了〉

SourceNotes

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