「AIと人との間に愛情や絆は生まれるのでしょうか」
そんな壮大テーマを、「ロボット・イン・ザ・ガーデン」の感想とともにお届けしたいと思います。
※この記事は「ロボット・イン・ザ・ガーデン」のブックレビューです。
ロボットやAI(人工知能)に対して人間は感情を持ち始めている
本題からは少し話がそれますが、日経新聞電子版で
「愛が生まれる日 絆、つなげるか」
というAIに関するニュースが紹介されていました。
「小冰(シャオアイス)」というマイクロソフトが開発した人工知能と、約8900万人の人がスマートフォン上などで対話を楽しみ、友情や恋愛感情を育んでいるという内容の記事です。
マイクロソフト小冰(シャオアイス)公式サイト
これ以外にも最近では、介護や医療の現場で活躍し始めているロボットも多いようです。
見た目の可愛さやAI技術の進化によって、人がロボットやヒューマノイドに対して以前より感情を持つ時代が訪れようとしています。
『ロボット・イン・ザ・ガーデン』ブックレビュー
人はロボットに感情をもつことができるのか!?
そんな疑問が頭の片隅にある時に出会った本が、今回ご紹介する「ロボット・イン・ザ・ガーデン (小学館文庫)」です。
「ロボット・イン・ザ・ガーデン」は、人間とアンドロイドが暮らす近未来を舞台にしたSF小説です。
「庭にロボットがいる」
タイトルのとおり、ある夫婦の暮らす家庭に突然ロボットが現れるところから物語がスタートします。
ロボットの名前はアクリッド・タング。
推定男の子のロボットで、どこから何のために来たのか?は全くわかりません。
タングは学習型AI(人工知能)を搭載したロボットで、人間の言葉などを理解し自己学習していくことができます。
(見た目はオンボロなんですけど優秀な子です)
そして主人公はその家で暮らす、ベン・チャンバースという34歳の引きこもりがちな無職の男性(既婚)。
タングは故障しかけており修理が必要で、
タングに対して運命的な何かを感じた主人公が修理をしてあげようと開発者を探す旅に出ます。
タングを修理する旅が物語のベースになっていて、途中起こる様々なエピソードから「ロボットと人間の愛や絆」について、考えさせられるようにストーリーが展開されていきます。
全体的には、ほのぼのとした世界観になっており「いつまでも2人の物語の世界に住み続けたいなぁ〜」と感じてしまいました。
テーマは「ロボットに対して人は感情を持てるのか?」
この本から感じたテーマは「人間はロボットに感情を持つことが出来るのか?」という、問いかけのようなものです。
タングのような学習型のAIが実現するかは分かりませんが、これから近い将来にかけて人間はロボットに感情移入をする時代になってなっていくんだなぁ…と、この本を読んで確信しました。
「人間はロボットに感情を抱くようになる」と感じた理由を少し掘り下げてみたいと思います。
【理由1:人間はすでにロボットに感情を持ち始めている】
まずは理由というよりは、現状の確認に近いのですが…
すでに人間は人工知能やロボットに感情を持ち始める事例が増えてきています。
このトレンドは、テクノロジーの発達とともにさらに加速することが予想されます。
高額なメイドタイプのアンドロイドもあっという間に予約分が完売したり、少しアダルトな話題ですがセックスロボットの開発も年々進んでいます。
この流れが途絶えることは考えにくいですね。
【理由2:会話したり出来るロボットは事実かわいい】
ロボットイン・ザ・ガーデンを読み進めていくうちに、きっとタングに対してモノに対してとは違う感情を抱くことができる人も多いことでしょう。
これぜひ本を読んで実際に感じて欲しいのですが、筆者も物語を読み進めるにつれてタングをかわいいと思えるようになりました。
もし実際タングのようなロボットがみじかにいたら、安易に捨てたり交換することはできないと思います。
会話したり、自分の名前を呼んでくれるロボットやAIは、実際に愛着が湧き人間と一緒にいるような錯覚を覚えます。
Amazonのレビューでも、
「親子の旅みたいになってタングが可愛いったらありゃしません(^_^)とくに胸の蓋を押さえる為のガムテープをイジイジするシーンなんて人間の子どもがいじける様そのものです~」
「可愛いロボットに、足に抱きつかれてギュッとされたり、寂しそうにポツンと佇んでたり、太陽の熱に晒されてオーバーヒートで具合が悪くなって動かなくなったりされたら、たまりませんよね~」
「そんなタングが人間の数ある複雑な感情の中で理解できたのは、愛だった。ぐっときました~」
などタングを可愛いと感じた読者がたくさんいます。
評価も4.5と高評価。
引用:Amazonのレビューより
ロボットやアンドロイドに対して、人は可愛いと感じることができる生き物のようですね。
ビル・ゲイツやイーロン・マスクもSFを読んで育っている
今回ご紹介した「ロボットインザガーデン」はSF小説です。
特に科学的な根拠に基づいている訳でもなく、専門的な部分にも触れられてはいません。
しかし、
「アンドロイドが家事を手伝ってくれたらどうなるんだろう?」
「ロボットが感情を持ったら、人間と絆は生まれるんだろうか?」
といった感情的な疑問に対して、
沢山のヒントを与えてくれる物語です。
Microsoftを立ち上げたビルゲイツや、電気自動車ベンチャーのイーロンマスクが、実はSFを沢山の読んで育ったことをご存知でしょうか?
近未来のロボットやアンドロイドと人間はどう共生していくのか?
未来がテクノロジーの進化によってどう変わっていくのか?
そんな疑問に対する答えが、ロボットインザガーデンを読めば見つかるかもしれませんね。
興味がわいた人は、ぜひ一読をおすすめします。
小学館 (2016-06-07)
売り上げランキング: 22,873
Source Note | 参照サイト紹介
1)愛が生まれる日 絆、つなげるか
2)AIロボと高齢者、進む「心」の交流 介護現場で活躍
1)2)ともに日経新聞電子版
3)AI時代の人生戦略 「STEAM」が最強の武器である (SB新書)
3)は、HONZ代表成毛眞さんの新刊。ビル・ゲイツやイーロン・マスクの、SF読書についても触れています。
コメントを残す コメントをキャンセル