森山大道『写真よさようなら 普及版』,2023年10月5日に発売.

『ニッコール千夜一夜物語Ⅰ・Ⅱ』を購入するために,ジュンク堂へ.
目的の本はすぐにピックアップできたので,レジへ向かう途中にふらっと写真関連の書籍コーナーを眺めていると,森山 大道の『写真よさようなら』の新版が発売されているのを見つけた.

『写真よさようなら』は,日本の写真家 森山大道による作品集で,過去に何度か版を変えて世に出ている.
自分の手元にある『写真よさようなら』は,2019年に月曜社から発行されているもので,今回発売された「普及版」も同じく月曜社から.

森山 大道が『写真よさようなら』を発表したのは1972年で,当時は美術出版社から刊行.
1972年版とは比較できないので詳しいことは解らないが,『写真よさようなら 普及版』 には145の作品,中平卓馬との対談,撮影データ,写真家本人による覚書が収録されている.

2023年10月5日に発売された『写真よさようなら 普及版』は,2019年発売の写真集よりサイズがコンパクトになっており,価格も4,500円 (税別)と買い求めやすく設定されている.
2019年発行の『写真よさようなら』は,希少本になりつつあり価格も高騰してきていたので,値段を理由に購入を見送っていた人にはよい機会だと思う.
書籍情報を月曜社公式サイトより引いておくので,サイズ感や価格の参照にどうぞ.

写真よさようなら 普及版
森山大道
¥4,500 (税別)
2023年9月29日取次搬入予定
B5判変型、並製、316頁
天地257mm×左右182mm 背幅25㎜
800g
本体価格4,500円
ISBN:978-4-86503-174-4 C0072

月曜社公式サイトより

森山大道は,1960年代に「ブレ,アレ,ボケ」と呼ばれる作風で注目を集め,その特異な視点と独特の写真表現は国際的にも有名.
彼の写真は,日常の瞬間を捉えながら,それらに潜む独自の美しさを提示していて『写真よさようなら』でも,その世界観が豊かに表現されている.
森山 大道の写真,特にモノクロ写真とモノクロ表現は見ると勉強になるし,街にでてスナップを撮りたくさせる.

『写真よさようなら』は,多くのレビューや批評でも高く評価されていて,その理由は森山 大道が彼自身の「写真」に対する深い洞察と複雑な感情を,非常に率直かつオープンに表現しているからだと思う.

この写真集を手に取ると,森山 大道が写真を通して,自身の考えをどのように表現しているのか,また彼が,どのようにして日常に潜む美しさを捉えているのかを感じることができる.
一見すると,何もないように見える日常の風景や瞬間に対する深い愛情と敬意が感じられ,それが彼特有の感性と深みを作り出しているのかもしれない.

結論,『写真よさようなら』は,生涯を写真表現に捧げてきた森山 大道の哲学と美学が凝縮された作品集なのだろう.
彼の写真や芸術に対する真摯で深い愛情とリスペクトを感じることができる一冊となっているので,気になる人はこの機会に手に取ってみるとよいだろう.
そして,気に入ったのであれば本棚に迎え入れ,時折その写真たちを見返してみて欲しいと思う.

<了>

Nikon Df,AS-F NIKKOR 50mm f/1.8G
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