アジェのパリはまさにこうした仕組みの風景から生まれたのである.路上に群がっていた当世風の人びとは次第に消えていき,欲望のざわめきは失われて,ただ建造物だけ,そしてそれらを飾るさまざまな装飾だけが残っていた.当時の写真を見ると,すでに「あおり」を使って垂直線が歪まない建築写真になっていた.
これは,多木浩二氏の著書『写真論集成』からの引用.フランスの写真家,ジャン ウジェーヌ アジェについて書かれた章の一節です.アジェも「あおり」と呼ばれる手法を使って,パリの街並みを撮影していました.
多木 浩二(たき こうじ、1928年12月27日 – 2011年4月13日)は、日本の美術評論家・写真評論家・建築批評家。専門は、芸術学。
「あおり」「アオリ」の意味,「あおって撮る」ことの効果.
あおり(アオリ)は,被写体を下から撮影する方法のこと.一般的なレンズやカメラでで被写体を下から上に向かって撮ると,被写体上部が窄まった写りになります.
あおりを意図的に使うことで,被写体を大きく見せたり,格調高い雰囲気の写真を撮ることができます.最後に「あおり」で撮影した作例をいくつか載せておきます.
[quads id=1]
〈了〉
[quads id=3]
SourceNotes
- 写真論集成(多木浩二著/岩波現代文庫)
- ウジェーヌ・アジェ: Wikipedia
- 多木浩二: Wikipedia
- 写真用語集