カメラの焦点距離とは,(ピントを合わせた時の)レンズから撮像素子までの距離のこと.カメラレンズには,焦点距離を変えることのできるレンズと,焦点距離を変えることのできない2種類のレンズが存在します.
この記事では「ズームレンズ」と「単焦点レンズ」の違いについて解説します.
ズームレンズと単焦点レンズの違い
焦点距離を変えるためのズーム機能があるカメラレンズのことを,「ズームレンズ」と呼びます.逆に,一定の焦点距離でしか撮影できないレンズのことを「単焦点レンズ」と呼びます.
カメラをはじめる時に多くの人が購入する,レンズキットには「ズームレンズ」が同梱されているので,カメラ初心者にとってはズームレンズのほうが馴染みが深いと思います.僕も最近カメラにハマるまでは,ズーム機能が無いレンズがあることすら知りませんでした.
一般的に,カメラを構えた位置のままズームして構図(被写体の大きさ)を調整することができるズームレンズのほうが便利です.しかし,便利なズームレンズにも欠点はいくつかあり,単焦点レンズが優れている面もあります.
ズームレンズは焦点距離を変えるためのズーム機構が必要なため,レンズが大きく・重たくなる傾向にあります.また,機構が複雑になるのでF値が低い明るいレンズを開発するには高い技術が必要とされています.そのため,ズームレンズで明るいレンズは高額になりがちです.
逆に,単焦点レンズはシンプルな設計でつくることができるというメリットがあるので,F値の低い明るいレンズを比較的安価に購入することが可能です.また一般的には,描写が美しさも単焦点レンズの方が優れています.
NikonのZレンズを例に比較してみます.『NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S』のメーカー価格は336,500円,『NIKKOR Z 50mm f/1.8 S』のメーカー価格は91,850円.やはり単焦点レンズの方が安価に設定されていることが分かります.
参照サイト : Zマウントレンズ製品一覧
- 焦点距離を調整できる
- カメラの入門レンズとしてもおすすめ
- レンズキットに同梱されることが多い
- サイズが大きくなりがち
- 価格が高くなりがち
- 焦点距離が決まっている
- カメラに慣れてくると欲しくなる
- ズームレンズよりコンパクトなレンズが多い
- ズームレンズより安価になりやすい
- なんといっても描写が綺麗なレンズが多い
「ズームレンズ」「単焦点レンズ」焦点距離の表記
ズームレンズにも単焦点レンズにも,レンズ本体に焦点距離が数字で明記されています.
ズームレンズの場合は「〇〇-〇〇mm」のように,広角側と望遠側の焦点距離が表記されます.例えば,「16-50mm」と書かれているレンズの場合は,広角側の焦点距離が16mmで,望遠側の焦点距離が50mmということになります.
単焦点レンズの場合は「〇〇mm」のように焦点距離が表記されます.例えば,「35mm」と書かれているレンズでは,焦点距離は35mmということになります.
また,レンズの表記で「mm」は省略されるケースもあり,数十年前のオールドレンズでは単位に「mm」ではなく「cm」が使われているものもあります.
高倍率ズームレンズについて
ズームレンズには,広角レンズの画角から望遠レンズの画角までを幅広くカバーする,『高倍率ズーム』と呼ばれるレンズもあります.
一般的には,40mm以下の焦点距離を広角,80mm以上の焦点距離をズームと分類することが多いので,それくらいの画角をカバーしているレンズは高倍率ズームレンズと定義して良いと思います.
「18mm〜400mm」といった幅広い焦点距離で撮影できるレンズも市場にはあるので,広角レンズと望遠レンズを複数本持ち運ぶのが面倒に感じる人は,高倍率ズームレンズの購入を検討してみるのもよいでしょう.