書籍レビュー | ジョナサン・アイブ 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー 第2回(全4回)



書籍レビュー | ジョナサン・アイブ 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー 第2回
先日AppleのCDO(チーフデザインオフィサー)にジョナサン・アイブ氏が就任されました。
就任を記念して「書籍 | ジョナサン・アイブ 偉大な製品を生み出すAppleの天才デザイナー」のレビューをお届けしています。
今回は第二回目です。

帰ってきたスティーブ・ジョブズ

1997年7月9日。
前任のギルバートアメリオを取締役会がクビにし 、スティーブジョブスが顧問としてAppleに帰ってきます。
(この時は暫定CEOはフレッドアンダーソン)

ジョブスは、早速経営を転換し始めます。
当時Appleには40を超える製品群が有りましたが、これを4つに絞ると宣言します。

この際ジョニーのデザイン時から7世代続いていたニュートンも廃止されてしまいます。

製品群よりも複雑になっている組織図にもメスが入り、1万3000人を超えていた従業員は6658名にまで削減されました。

人員の削減に目処が立つとジョブスは、デザイナー エンジニア マーケターの精鋭集団を画期的な製品作りに集中できるようにしました。

ジョニーのデザインスタジオに訪れたジョブスは、その創造性と綿密さに驚きを覚えます。
ジョブスは穏やかな性質をもつジョニーを気に入り、二人はたちまち意志が通い合うようになります。

「僕らはフォルムや素材への姿勢を語り合った。波長があったんだ」
と後にジョニーは語っています。

ジョニーはデザイン部門をそのまま任されることになり、デザイン部門はひとつの事業部として独立。
事業部の責任者となります。

iMacの開発

ジョブスの強力なリーダーシップのもと、デザイン部門は家庭用のデスクトップコンピューターのデザインに着手します。
(のちのiMac)

ジョニーとチームのメンバーは、最初の月に少なくとも10個の試作モデルを作ります。
しかしこの時からすでに、ジョニーは試作したモデルの全てをジョブスには見せていなかったそうです。

「自分達がいいと思ったものだけを選んでジョブスに見せていた。ジョブスはそれに対してイエスかノーだけ言う。彼に選んで欲しくないものは、絶対に見せなかった」
と、ダグ サツガーは言っています。
(iMac iPhone開発にも携わったジョニーの元部下)

ジョニーがはじめての卵型の試作品を見せた時にはジョブスはノーと言いました。
しかし、ジョニーは卵型デザインの魅力を伝えデザインコンセプトが採用されます。

迎えた製品発表会。

半透明で洗練されたプラスティック製の筐体
ユーザーとデバイスの距離を縮めるハンドル
レガシーフリーの潔い設計

そして熱気に包まれたプレゼンテーション。

iMacは専門家たちの予想を裏切り大ヒットします。

発売一週間前にも関わらず15万台の予約注文が積み上がりました。
発売から6週間で27万8000台を販売、年末までに80万台以上を売り上げApple市場最速の売れ行きを記録します。

Appleはジョブス復活とジョニーのデザイン責任者就任後、3四半期連続で黒字決算を発表し復活を世間に印象づけました。

そしてiMacの大ヒットは、ジョニーを世界一大胆で独創的なデザイナーとして有名にしました。

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4分割マトリックスの商品開発

iMacの成功後、ジョブスとジョニーは4分割マトリックスの残り4つを埋める仕事に着手します。

4分割マトリックスとは
復帰後のジョブスが打ち出した商品ラインナップ。
40以上存在した商品群を、4つの分野に集約しました。
「家庭用デスクトップ」「家庭用ポータブル」
「プロ用デスクトップ」「プロ用ポータブル」の4つ。

iMacが家庭用デスクトップにあたるため、
プロ用デスクトップ、家庭用ポータブル、プロ用ポータブルが残っています。

ジョニーのチームは、iMacのあとプロ用の高性能デスクトップの開発を任されます。

そしてプロ用に開発されたPower MacG3その後継機であるG4は、iMacのように注目や賞賛を集めこそしなかったもののかなりの台数が販売されました。

次にデザインチームは4分割マトリックスの3番目家庭用ポータブルコンピューターに取り掛かります。
「コンセプトはシンプルでした。iMacをラップトップにすること」チームのデザイナーはこう語っています。

海洋生物を思わせる曲線的な「クラムシェル」のデザイン、ポリカーボネイト製の筐体、組み込み式のハンドル、様々な課題をクリアしiBookが完成します。

iBookが発表されると、あるコメディアンが「バービーの便座」みたいだと茶化したことからこの表現がいつまでもついて回るようになります。

しかし、iBookは消費者、学生、教育関係者を中心に大ヒットし発売から3ヶ月で25万台以上が出荷されます。

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その後数年はアップデートが繰り返され、機能が強化されていきます。
今では当たり前となったWi-Fiを広めたのもこのiBookでした。

4分割マトリックスの最後はプロ用のノートブックでした。
プロ用のノートブックも一からデザインを見直します。
チタニウム製の筐体や美しく拡がるワイドスクリーンのディスプレイを備え、パワーブックG4は2001年のマックエキスポで発表されました。

ジョニーはヒットを予言していました。
「ひとめ見れば軽さと薄さを感じられるはずだ」
実際に大ヒットします。

即座に売り切れになり、品薄状態が長い間続くのです。生産が需要に全く追いつきませんでした。

その後は、Power Macキューブを発表します。
この作品は、ヒットしませんでしたがこの時開発された技術がiPhoneのタッチ技術のもとになりました。



IDg、遂にApple本社へ

2001年2月9日 。
マックワールドエキスポのドタバタが落ち着くとIDg(ジョニーのデザインチーム)はApple本社内に移転します。
※それまではApple社向かい側に独立して居を構えていました。
「IDgはやっとアップルの心音に近づいた」とジョニーは言っています。

デザインスタジオには、ジョニーの個室があります。(個室はジョニーにだけ与えられています)
ただ椅子と机とランプがあるだけの、シンプルな部屋で、椅子はイギリスのオフィス家具メーカー、ヒル製のスポルトです。

ジョニーの机は、17インチのMacBookとドローイング用の色鉛筆が綺麗に揃えて置かれています。
外付けのディスプレイや周辺機器は使わないそうです。

ジョブスは、スタジオを訪れるとよくジョニーの部屋に行っていたそうです。
Appleストアの店舗デザインも、このジョニーの部屋から思いついたそうです。

第3回へ続く

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