『図説 写真小史』ベンヤミン著: 写真とカメラの歴史,「アウラ」という概念を学ぶ.

ちくま学芸文庫から発行されている『図説 写真小史』,写真の歴史について勉強になる良書なのでご紹介.

手元にあるのは,1998年4月9日の第一刷発行のもの.Amazonで調べてみると現在も新品が流通しているので,長いあいだ読まれている名著であることが分かります.(Amazonレビューの評価も高い)

著者は,20世紀ドイツの思想家・批評家ヴァルター・ベンヤミンです.著者のベンヤミンさんについては,著者紹介から引用しておきます.

ヴァルター・ベンヤミン(Walter Benjamin)
1892(Berlin)-1940年(Port-Bon).20世紀ドイツの最も異彩を放つ思想家・批評家.きわめて緻密で繊細な文体をもつ卓越した文章家.青年運動の只中で思想形成期を迎え,ユダヤ神秘主義,概念論的弁証法,マルクス主義的歴史哲学等の影響を受ける.激動の時代状況とアクチュアルにまたラディカルに切り結びながら,同時に近代もしくはモデルネの原史(Urgeschichte)を見据え続けた.亡命行の途上でみずから命を絶った.

写真の歴史,基礎となる用語を知ることができる.

「カメラ・オブスクラの映像を定着させたい」,人々がこう考えたことが現在の写真技術のはじまりだと考えられています.その後,1837年にダゲールが『ダゲレオタイプ』を完成させ,写真技術は現代まで発展を遂げています.

『図説 写真小史』を読むと,「カメラ・オブスクラ」「ダゲール」「ダゲレオタイプ」のような,写真史を学ぶ上で重要なキーワードを理解することができます.また,1900年代初め頃に写真技術の進歩がどのように考えられていたか,当時の芸術にどう影響を与えていたかを知ることもできます.

写真の歴史と,基礎となる用語(またその成り立ち)を学べるので,写真に興味がある人には,とても参考になる書籍だと思います.

以下は,『図説 写真小史』の注釈から抜粋です.注釈だけ読んでも,写真用語やポイントとなる写真家の名前を覚えることが可能です.ベンヤミンの「写真小史」は50ページくらいまでなので,まずはそこまでを一度読んで,その後注釈と図版を楽しむとよいでしょう.

カメラ・オブスクラ
ラテン語で「暗い部屋」という意味.レンズと鏡を備えた暗箱で,携帯可能なものも考案された.外の風景を正確に写しと取ることができるため,画家たちによって用いられた.

ダゲレオタイプ

ダゲールの開発した写真技法のこと.ダゲレオタイプ(仏: daguerréotype)とは、ルイ・ジャック・マンデ・ダゲールにより発明され、1839年8月19日にフランス学士院で発表された世界初の実用的写真撮影法であり、湿板写真技法が確立するまでの間、最も普及した写真技法。

ダゲール(ルイ・ジャック・マンデ・ダゲール)

1787-1851年.フランス人.パノラマ館の風景画を描いていたが,1822年にパノラマをさらに改良した〈ディオラマ〉という見世物小屋を開業.このディオラマの下絵はカメラ・オプスクーラで描かれていたため,ダゲールはカメラ・オプスクーラの像を定着したいと考えるようになった.ニエプスが定着に成功したと聞いたダゲールは,彼と共同研究の契約を結んだ.ニエプスの死後,1837年に銀板写真術を完成させたダゲールは,これをダゲレオタイプと命名した.

豊富な図版が,ベンヤミンの写真論の理解を助けてくれる.

『図説 写真小史』は,ベンヤミンの「写真小史」を日本ではじめて写真入りで解説した書籍.そのため,豊富な図版がベンヤミンの写真論への理解を助けてくれます.

「写真小史」は初出のとき,数枚の写真のみが添えられていただけでした.そこで『図説 写真小史』では,言及されている写真集などがから図版をピックアップし,分かりやすく解説したとされています.

このように本書には,図版が非常に多く挿入されています.これらの写真を眺めるだけでも,『図説 写真小史』の読み物としての価値は高いと言えます.図版はページ下に挿入されていたり,注釈のあとにまとめて掲載されています.ページを行ったり来たりするのがやや面倒ですが,そこはご愛嬌ということで.

66〜117ページまでに,55枚の図版が挿入されています.これらの資料だけでも1,000円(本代)の価値は十分にあります.

ベンヤミン芸術論のひとつ「アウラ」という概念.

『図説 写真小史』(またベンヤミンの他の著書)では,「アウラ」という言葉が何度も登場します.これはベンヤミンの芸術論の中心概念のひとつで,オリジナルなものだけが纏うオーラのことを指しています.

英語の「オーラ」だが,ベンヤミンの芸術論の中心概念のひとつで,美しいもの(真正なもの,オリジナルなもの,一回的なもの)を取り巻く,ある種の微妙な被いをいう.この被いは,それが包む中身と切り離しえない.

〈了〉

SourceNotes

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