Nikon Z6とZ7の,フォーカスモードとAFエリアモードの設定をまとめた解説記事.
2020年8月に発売されたZ5,APS-C機のZ50も同じような仕様になっています.Nikonのミラーレスカメラをこれから使いはじめる人で「フォーカスモードの設定を変えるとどうなるのだろう」「AFエリアモードの違いがよく分からない」のような時,参考になると思います.
- フォーカスモードの設定方法
- 4つのフォーカスモードの特徴や違い
- AFエリアモードの設定方法
- 6種類のAFエリアモードの特徴や違い
フォーカスモードの設定方法
フォーカスを日本語にすると「合焦(がっしょう)」.ピントを合わせることを指します.フォーカスモードでは,このピントを合わせる方法を選ぶことができます.
iメニューまたは静止画撮影メニュー,動画撮影メニューのフォーカスモードから設定を変更できます.デフォルト(購入したときの初期設定)の状態では,Fn2ボタンを押しながらメインコマンドダイヤルを回すとフォーカスモードを設定できます.
AFは「Auto Focus(オートフォーカス)」の頭文字をとった略称.「エーエフ」と読んだり,そのまま「オートフォーカス」と読んだりします.
この辺の読み方は個人の自由.なので,言いやすい方を使って下さい(所謂,語感がしっくりくる).僕の所感では,カメラをやっている人は「エーエフ」と言っている人が多いように感じます.
AF-S シングルAF
- 静止している被写体の撮影に適したモード
- シャッターボタンを半押しすると,ピントが合った時点でフォーカスポイントが緑色に点灯してフォーカスがロックされる
- ピントが合っていない時はフォーカスポイントが赤に点滅してシャッターが切れない
- 初期設定はフォーカス優先モード(ピントが合うとシャッターが切れる)
AF-C コンティニュアスAF
- スポーツなど動きのある被写体の撮影に適している
- シャッターボタンの半押しを続けている間はフォーカスがロックされず,被写体の動きに合わせてピントを追い続ける
- 初期設定ではレリーズ優先モード(ピントの状態に関係なくいつでもシャッターが切れる)
AF-F フルタイムAF ※動画モードのみ
- カメラは常に被写体の動きや構図の変化に合わせてピントを合わせ続ける
- シャッターボタンを半押しするとピント合わせを行って,ピントがあった時点でフォーカスがロックされる
- 動画モードの場合のみ選べる
MF マニュアルフォーカス
- ピントを自分で合わせたい時に選ぶ
- ピントの状態に関係なくシャッターを切ることができる
ニコン機のオートフォーカス性能に関する注意点
次のような被写体は,ピントが合わないことがあるので注意が必要.
オートフォーカスでピントが合わない時は,マニュアルフォーカスに切り替えてピント合わせを行いましょう.なので,いざというときのためマニュアル撮影に慣れておくことをおすすめします.
- 画面の長辺側と平行な線の被写体
- 明暗差の少ない被写体
- フォーカスポイント内の被写体の輝度が著しく異なる
- イルミネーションや夜景など点光源
- ネオンなどの明るさが変化する被写体
- 蛍光灯・水銀燈・ナトリウム灯などの証明家で画面にチラつきや横縞が見える場合
- 特殊なフィルターを使用した場合(クロスフィルターなど)
- フォーカスポイントに対して小さい被写体
- 連続した繰り返しパターンの被写体(ビルの窓,ブラインドのような被写体)
これら↑の被写体は,Zシリーズのカメラに同梱されているマニュアルにも「ピントが合わない場合がありますのでご注意ください」と記載されている.このような条件下でオートフォーカスが動作しない場合は,カメラやレンズの故障である可能性は低いです.なので,一度被写体を変えてオートフォーカスが発動するかを試してみましょう.
オートフォーカス作動中は画面の明るさが変わることもあります.また,ピントが合わなくてもフォーカスポイントが緑色になることもあるため,100%カメラの力を過信せず「ピンと合ってないなぁ」と感じたらマニュアルでピント合わせをできるようになっておきましょう.
AFエリアモードの設定方法
ニコンのZシリーズ (Z 6・Z 7)には,様々なAFエリアモードが存在します.
AFエリアモードとは,オートフォーカス使用時にフォーカスポイントをどのように選択するかの設定のこと.設定できる項目は,フォーカスモードの設定状態によって異なるので,少しの注意と設定への理解が必要です.
AFエリアモードは,iメニューまたは静止画撮影メニュー,動画撮影メニューのAFエリアモードの項目から設定が変更できます.
フォーカスモードの設定と同じく,デフォルトではFn2のボタンにAFエリアモードが割り当ててあります.Fn2を押しながら”サブ”コマンドダイヤルを回すとAFエリアモードを設定できます.AFエリアモードを頻繁に変更するような使い方の人は,ファンクションボタンに設定を割り当てておくとよいでしょう.
NikonのZシリーズには,6種類のオートフォーカスが用意されています.それぞれのオートフォーカスの特性を理解して,撮影環境や被写体に合わせてモードを選べるようになっておきましょう.
- シングルポイントオートフォーカス
- ピンポイントオートフォーカス
- ダイナミックオートフォーカス
- ワイドエリアオートフォーカス S
- ワイドエリアオートフォーカス L
- オートエリアオートフォーカス
シングルポイントAF
- 選んだフォーカスポイントだけを使って,ピント合わせをするモード
- 静止している被写体の撮影に適している
僕はマニュアルフォーカスのオールドレンズを使うことが多いので,基本的にはほとんどシングルポイントAFです.
ピンポイントAF
- シングルポイントAFより,小さいフォーカスポイントを使ってより狭い範囲に(ピンポイントで)ピントを合わせるモード
- シングルポイントオートフォーカスよりも,ピント合わせが時間がかかることがある
- 静止画モードでフォーカスモードがシングルオートフォーカスの場合のみ,ピンポイントAFを選べる
ダイナミックAF
- 撮影者が選んだ一つのフォーカスポイントから被写体が一時的に外れても,周辺のフォーカスポイントからピント情報を利用してピント合わせをするモード
- 構図を優先した,動いている被写体の撮影に適している
- 静止画モードでフォーカスポイントがコンティニュアスオートフォーカスの場合のみ,ダイナミックAFを選ぶことが可能
ワイドエリアAF(S)・ワイドエリアAF(L)
- シングルポイントAFよりも広い範囲で被写体を捉えるモード
- ワイドエリアAF(L)はワイドエリアAF(S)よりも広い範囲で被写体を捉える
オートエリアAF
- カメラが自動的に全てのフォーカスポイントから被写体を判別して,オートフォーカスエリアフレーム内でピントを合わせをしてくれるモード(一番楽チンなあAFモードと言ってよいかもしれません)
- 初期設定では,人物の顔を認識した場合は優先してピントを合わせる
- カメラが人物の顔を認識するとフォーカスポイントが黄色の枠に変わる
- 複数の顔を認識した場合は,マルチセレクターで黄色の枠を移動させることができる
(他の顔を選ぶことができる) - オートエリアAF中にOKボタンを押すと,ターゲット追尾 AF を使用することができる.
ヒント : フォーカスポイントを素早く選ぶには
カスタムメニューa5の「AF点数」を「スキップ」に設定すると,サブセレクターやマルチセレクターで選べるフォーカスポイントの数が約1/4になります.(→なので,フォーカスポイントを素早く移動させることが可能)ワイドエリアAF(L) の場合,スキップに設定しても選べるフォーカスポイントの数は変化しません.
また,フォーカスポイントの移動を主にサブセレクターで行っている場合,カスタムメニュー f2「カスタムボタンの機能」の「サブセレクター中央」で「フォーカスポイント中央リセット」に設定しておけば,フォーカスポイントを素早く画面の真ん中に戻すことができます.
〈了〉
SourceNotes
- Nikon デジタルカメラ Z 7 ・ Z 6 使用説明書