スマートフォンの発明によって、私たちの生活は大きく変わりました。
良い影響も、悪い影響も様々です。
良い影響としては、瞬時に情報にアクセスできるようになったこと、買い物が非常に楽チンになったことなどでしょう。
悪い影響としては、スマホ首での健康被害や、歩きスマホが原因の事故などが挙げられると思います。
なにはともあれ、スマホによって人々の暮らしは変わりました。
そして、今でも変化は続いています。
さて、最近「歩きスマホ」とは違ったスマホの影響による行動変化で、ある習性が観測されています。
それが「フォーン・ウォーキング」です。
今回は、「フォーン・ウォーキング」「フォーン・ウォーカー」について紹介したいと思います。
「フォーン・ウォーカー」「フォーン・ウォーキング」のポイント
まずは、「歩きスマホ」と「フォーン・ウォーキング」の違いについてです。
最初は「歩きスマホと何が違うの?!」と疑問でしたが、違いを知ると納得。
確かに自分の行動を振り返っても、フォーン・ウォーキングしていることがあります。
歩きスマホ
スマホの画面を見ながら、あるいは操作しながら歩くこと。
フォーン・ウォーキング
スマホを実際に使うわけではないのに、長時間手に持ったまま歩いていること。
フォーン・ウォーカーの基準とリサーチ方法
「フォーン・ウォーキング」は、イリノイ大学シカゴ校のローラ・シャポスニック氏とジェームス・アンウィン氏の2人が現象を発見し研究を行っています。
リサーチは以下のように行われました。
2人はまず、パリの中心部にある6つの場所で、3000人以上の成人の歩行者を対象に研究を開始しました。
歩行者の半数強が女性で、サンプル全体の平均年齢の(推定で)およそ35歳でした。
対象者を20〜30メートル観察し、スマホを使っていないが手に持っている人に「フォーン・ウォーカー」のラベルを付けていきます。
その結果、観察した3038人の成人のうち、674人はフォーン・ウォーカーでした。
その割合は、全体のおよそ22%。
約4人に1人という多くの人が、フォーン・ウォーキングしているという驚きの結果です。
フォーン・ウォーカーの男女別の特徴
フォーン・ウォーカーは、性別によっても特徴や傾向があります。
- 男性…20%がフォーン・ウォーカー
- 女性…33%がフォーン・ウォーカー
また、ひとりで歩いている場合と、男女ペアで歩いている場合では顕著な違いが現れています。
単独で歩いている人の場合の確率
- 男性…30%がフォーン・ウォーカー
- 女性…37%がフォーン・ウォーカー
ペアで歩いている場合の確率
- 男性のペア…24%がフォーン・ウォーカー
- 女性のペア…40%がフォーン・ウォーカー
- 男女のペア…18%がフォーン・ウォーカー
注目したのは、男女ペアの時は劇的にフォーン・ウォーキングする確立が低下するということです。
なぜフォーン・ウォーキングが増えているのか?!
シャポスニック氏とアンウィン氏は、フォーン・ウォーキングという習性が増えている理由を4つ挙げています。
- 【理由1】社会的プレッシャーが、人々に一定時間内にメッセージ返答することを要求している
- 【理由2】人々が自分のスマホに精神的に依存するようになっている(スマホ依存)
- 【理由3】セキュリティの向上。スマホをを手に持っていれば、バッグやポケットに入れている時より盗まれたり、落としたりしにくくなる
- 【理由4】スマホを社会的・経済的ステータスを誇示する装飾品だとする考えがある
これらの理由をみると、男女ペアのフォーン・ウォーカーの割合が極端に低かったこととも、つじつまが合います。
フォーン・ウォーキングしていな男女ペアの中でも、カップルと推測される調査対象は特にフォーン・ウォーキングの割合が低かったそうです。
研究によると、SNSでメッセージを送り合っている恋人同士は、5分以内に返事が来ることを期待しているそうです。
しかし、パートナー同士で実際に会っていれば、当然その必要は無くなります。
また、恋人と楽しい時間を過ごしていれば、精神的にも満足しているのでスマホに依存する必要もありません。
こういった要因が重なることで、(カップルと推測される)男女ペアのフォーン・ウォーキングの確率が下がっていると考えられます。
「フォーン・ウォーキング」の研究は始まったばかり
理由3と4には、ぼく自身も実感するところがあります。
この頃は日中が温かいので、ジェケットを脱いで歩くことも増えてきました。
その時、ちょっとした移動(例えばトイレへ行く時)であればスマホを手に持って歩いています。
理由は階段をあがる時に、ポケットにiPhoneを入れておくと落としそうだからです。
これは、【理由3】とも一致します。
また、以前iPhone Xでも裸族に戻ったことを書いたのですが、この時の心理状態も理由4と一致しています。
iPhone裸族の記事がネット上にも沢山あることから、やはり「ステータスシンボルとして、スマホを手に持つ」という人は一定数いることは確実でしょう。
特に新しい機種が発売された後は、この傾向が強いと思います。
テクノロジーの発展には、人間の習慣やライフスタイルそのものを大きく変える力があります。
今回参照にしたMITテクノロジーレビューの記事でも、「まだまだサンプル数が少ないので、今後も研究は必要」とされています。
「フォーン・ウォーキング」の研究は、まだ始まったばかりなので今後も動向には注目していきたいと思っています。
SourceNote
- MITテクノロジーレビュー:あなたがスマホを「手に持って歩く」理由
- フォーン・ウォーカー:非アクティブなモバイルデバイスへの依存に関する研究
- 画像提供: iStock by Getty Images
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