ニコン NIKKOR Z 26mm f/2.8 レビューとレンズの魅力

ニコンの最軽量薄型レンズ『NIKKOR Z 26mm f/2.8』を購入してから,2ヶ月ほど使用した感想.Zマウントのスナップ用レンズとしてはとてもおすすめなので,Zユーザーの背中を押すために,使用感や作例,レンズの魅力をまとめます.

はじめに結論から

『NIKKOR Z 26mm f/2.8』は,軽量コンパクトでZレンズらしい抜けのある素直な描写力をもった優れたレンズ.頻繁にカメラを持ち出す人,スナップ写真が好きな人にとっては理想的なサイズ感と写りを両立している.

特筆すべき点は持ち運びの便利さ.薄型最軽量は,このレンズを語るうえで外すことのできない最大の特徴の一つ.カメラにつけても,バッグにしのばせても,重さをほとんど感じない.

画質についてもクリアさと色の表現はZレンズらしく,f/2.8の明るさは様々な撮影環境で適切な露出を得ることができ,綺麗なボケも表現が可能.26mmの焦点距離は,iPhoneの広角カメラとほぼ同じ画角なので,風景撮影からポートレートまで幅広く対応できる.

ただ,いくつかの欠点もある.

オートフォーカスは速いとは言えず,レンズが繰り出す仕様のため,付属のフードを付けないと出っ張りが気になる(「ダサい」と感じる人も多いだろう).フォーカスブリージングもある.

僕の場合は,欠点は全く気にならないので(動きものは撮らないし,スチルしか撮らないのでフォーカスブリージングは気にしない),価格含めて『NIKKOR Z 26mm f/2.8』というレンズには非常に満足している.

万人におすすめできるレンズでは無いが,ここまで読んでくれた方はきっとこのレンズの購入を検討しているはずなので,ぜひ最後までお付き合いください.

レンズスペック

  • 全長23.5mm
  • 重量約125gの薄型,軽量設計
  • スナップやテーブルフォトにも最適な画角
  • 金属マウントと高品位な外観
  • Zマウントらしい抜けの良いクリアな描写

『NIKKOR Z 26mm f/2.8』は,パンケーキレンズと呼ばれる薄型軽量のレンズ.マウント面からの全長は23.5mmで質量125g,ニコンのZマウントレンズの中でも最軽量とされている(2023年8月時点).

薄型軽量のためストリートスナップにも適しており,首からぶら下げて,またはストラップを手に巻いて,長時間撮影していても疲れにくいのもありがたい.50mmや85mmなんかをメインで使いつつ,「広角で撮りたいなぁ」という時のために鞄に忍ばせておいても,全く気にならない.

また,価格を見て少々高いと感じた人が多いようだが,金属マウントの採用と,高強度と高品位な仕上がりをしているため,ニコンらしい質実剛健さと理想的なレンズ描写を兼ね備えた最強のパンケーキレンズに仕上がっている.

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画質と使い勝手をチェック

『NIKKOR Z 26mm f/2.8』の魅力を感じるには,その外観に似合わない描写力を知ることが重要.「Zレンズにはずれなし」の評価は,このレンズにも当てはまっているので,安心して良いだろう.周辺減光はあるが,カメラ設定や現像処理でどうとでもできる程度.かえってレンズの味と感じる人のほうが多いかもしれない.

フォーカスのスピードはそれほど早くないので,そこは許容しておくべき点だと思う.これだけ薄いので,もちろんレンズ内の手ブレ補正機能は無い.あと,押さえておきたいデメリットは,「ズームレンズなの(やや大袈裟な表現だが)」と感じてしまうフォーカスブリージングがあること.最短撮影と無限遠では意図せず画角が変わるので,実機を触れる環境にある場合は,一度試してから購入を決断した方がよいでしょう.

フルサイズとAPS-Cの画角の違い

『NIKKOR Z 26mm f/2.8』はFXフォーマットなので,フルサイズ機でもAPS-C機でも使うことができる.26mmというフルサイズ機での焦点距離は,iPhoneの画角と近いためiPhoneで写真を撮りなれている人であれば,自然に構図を決めることができるだろう.

一方APS-Cでは,焦点距離の40mmくらいの画角となる.こちらも比較的使いやすいとされている画角で,スナップやテーブルフォトなど様々な撮影に適している.ニコンのフルサイズ機とAPS-C機を両方持っている人にとっては,さらに便利なレンズとなるだろう.

スナップ撮影における重要性

スナップ(スナップ撮影)とは,日常の風景や人物・街並みなどを素早く捉えるスタイルの撮影方法のこと.

僕はこの2ヶ月,『NIKKOR Z 26mm f/2.8』をほぼストリートスナップで使っていたが,ある程度の時間が経った今でもこのレンズを使ってスナップするのが愉しい.
基本的にはストラップを手に巻いて,散歩していて気になる被写体をひたすら撮っていく,森山大道スタイル.今でも1〜2時間くらいの散歩で400〜500枚くらい撮ってしまうこともある.

先ほど書いたように,オートフォーカスの速度は速くは無いが,ワイドエリアAFに設定しておいてフォーカスすれば,ある程度被写体にピントは合わせてくれる.それでシャッターを押せば,綺麗な写真が撮れてしまう.

スナップ写真が趣味で,「広角レンズが好き」または「広角側のレンズが欲しい」と考えている人にはピッタリなレンズだと思う.

NIKKOR Z 26mm f/2.8の特徴と作例

『NIKKOR Z 26mm f/2.8』を使った作例写真.
別記事にまとめているので,そちらでご確認ください

以下に,シーンごとのこのレンズを使って撮影するポイントをまとめておきます.

風景
広い画角を活かして,美しい自然風景を捉えるのは愉しい.広大な自然風景や大きめの建築物など,標準や望遠レンズでは捉えられない風景を撮影するとよいだろう.被写体をある程度近くに置けば,背景もそこそこボケるので,新緑の季節には花や植物の撮影にもおすすめ.

ストリートスナップ
しつこいようだが,このレンズを使ったスナップ撮影は,今でも最高の体験だと感じている.26mmの焦点距離は,自然な感じで人物を入れることもできる.被写体を狙いつつ,歩く人や自転車が画面に入り込んだ時を狙ってシャッターを切れば,ストリートスナップっぽい写真を撮ることができるだろう.

食べ物の撮影 ※最短撮影距離20㎝
近接撮影もできるので,その能力はテーブルフォトでも活躍する.美味しそうな料理やカフェでの一皿,料理の細かいディテールなど,ストレスなく高品質な写真として残すことができる.被写体に寄りすぎなければ,料理やテーブル全体の雰囲気も,美しく収めることができるのが特徴.

レンズのボケ味と,その楽しみ方

写真の「ボケ」とは,ピント面以外の部分がぼんやりとぼける効果のことを指す.NIKKOR Z 26mmは開放F値が「2.8」ではあるが,コツさえつかめば,ボケた写真を綺麗に撮ることが可能.

綺麗なボケ味を楽しむためために,以下のようなポイントに留意して撮影してみるとよいだろう.

背景選び
ボケを演出するには,被写体と背景の間に適度な距離を作ることが重要.背景に明るい光が当たっていると,ボケがより柔らかく見えるので,花や植物の撮影であれば,太陽の位置を意識して撮影してみるとよいでしょう.

被写体の配置
被写体をフレームの中心ではなく,少し手前に配置するように意識すると,ボケ味のあるより立体感のある写真になる.被写体と背景の距離感を考慮しつつ,バランスの取れた構図を作ってみよう.

近接撮影
前項の被写体の配置と似ているポイントになるが,近接撮影能力を活かして,被写体に思い切って近づいて撮影することもボケを楽しむ方法の一つ.特に広角レンズの撮影になれていない人は,いつもの感覚からさらに1〜2歩被写体へ近づくようにすると,適度な距離をとることができる.

広角レンズであっても,コツさえつかめばボケをコントロールできるようになると思う.上記のポイントを頭に置きつつ,様々な環境でとにかくシャッターを切ると『NIKKOR Z 26mm f/2.8』レンズと仲良くなれるだろう.

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Zfc,Z8との相性

APS-C機のZfcや,ニコン最新のカメラZ8との相性も気になるところだろう.あいにくZfcもZ8も持っていないので,これについては他のレビュアーの記事をググって参考にしていただきたい.

Z8とNIKKOR Z 26mm f/2.8の相性が気になってYouTubeをチェックしたが,個人的には非常に相性が良いと感じた.このレンズの開発には「高品位」というテーマが掲げられていたらしいので,上位機種とのデザインバランスは問題なしと考えておいていいだろう.

Nikon Z9との組み合わせ推奨度

NIKKOR Z 26mm f/2.8レンズは,Z9との組み合わせでも魅力を発揮する.

「レンズキャップの代わりにこのレンズを使う」というユーザーもいるようだ.ニコン Z9はプロ向けのカメラであり,ニコン機として最上位の連写性能や優れたパフォーマンスを誇る.NIKKOR Z 26mm f/2.8レンズの軽量コンパクトな設計と,Z9の高性能なボディとの組み合わせでは,様々な撮影シーンでの優れた操作性と画質を実現することができるようだ.

NIKKOR Z 26mm f/2.8の仕様と詳細

レンズの主な仕様と機能について

  • 焦点距離: 26mm
  • 最大口径: f/2.8
  • 最小口径: f/16
  • レンズ構成: 8群11枚(非球面レンズ1枚を含む)
  • 最短撮影距離: 0.66フィート(0.20m)
  • フィルターサイズ: 52mm
  • 寸法(径×長さ): 約69mm×32mm
  • 重量: 約125g

外箱と同梱品

『NIKKOR Z 26mm f/2.8』を開封したときのメモ.

まとめ

ニコン NIKKOR Z 26mm f/2.8 レビューとレンズの魅力のまとめ.

  1. 薄型・軽量設計でありながら、高画質な描写を実現
  2. スナップ撮影に最適なパンケーキレンズ
  3. 使いやすい26mmの画角と,f/2.8の明るさ
  4. APS-C機(DXフォーマット)のZfcや,Z8・Z9との相性も良い

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