日経新聞電子版に「Apple、次期iPhone全機種に有機EL 脱・液晶加速【イブニングスクープ】」という記事がでています.日経新聞で新型iPhoneの情報を見ると,いよいよ次期iPhoneの発表が現実味を帯びてきたなぁといつも感じます.
珍しくニュース記事をしっかり読んだので,記事の内容を引用しつつ所感や補足解説をしていこうと思います.
日経新聞の記事は,2020年9月以降に発売される新型iPhone(iPhone12シリーズ)は全機種が有機ELディスプレイになりますよ.といった内容.ちなみにAppleメディア界隈では,今年のiPhoneはコロナウイルスの影響で発売が遅れると噂されています.記憶に新しいところだと,2017年のiPhone Xが日本国内で発売されたのが11月3日.iPhone12は,11月くらいまで発売が遅れることを覚悟しておいたほうがよさそうです.
米アップルは2020年後半に発売するスマートフォン「iPhone」の全新機種に高精細で軽量の有機ELパネルを採用する見通しだ。これまでは液晶パネルと併用していたが、韓国サムスン電子など競合他社が搭載機種を増やしており方針を転換する。
引用 : 日経新聞電子版より
海外のAppleメディアでは数ヶ月前から報じられてきましたが,今年発売されるiPhoneでは,全機種で有機ELディスプレイが採用される可能性が高い.日経電子版でも同様の見通しを立てています.日経のような経済メディアが「全モデル有機ELディスプレイ」と扱っているので,やや信憑性は高まってきていると感じています.
iPhoneで有機ELディスプレイが初めて搭載された端末は「iPhone X」,その後「iPhone XS」「iPhone XS Max」「iPhone 11 Pro」「iPhone 11 Pro Max」と徐々に有機ELディスプレイを採用したiPhoneが増えてきています.有機ELディスプレイは液晶ディスプレイと比較すると,価格はおよそ2倍.費用が高額なことからこれまでAppleは「ハイスペックモデルには有機EL」「スタンダードモデルには液晶」とパネルを使い分けてきました.しかしここにきて,5G搭載や電力消費量の問題を解決するため,有機ELを全モデルに搭載することが求められるフェーズにきているとみられます.
ここで少し,有機ELディスプレイについて触れておきましょう.
有機ELディスプレイ = OLED(「オーレッド」と読む)は,ふつうのLEDディスプレイよりプラズマディスプレイに似ている.ふつうのLEDディスプレイでは,LED(発光ダイオード)を通る個々の光源から光を操作することによって,彩度の異なる様々な光を作り出す.しかし,OLEDの各ピクセルは,プラズマディスプレイのピクセルと同様,中を流れる電気の量に応じて自ら発光する.有機ELディスプレイはこんな仕組みで動いています.
有機ELディスプレイの大きなメリットの一つは,バックライトが不要なこと.バックライトが不要なので,端末の消費電力を抑えることができ,薄型化にも貢献します.このことは,電池持ちを気にしたり薄型デバイスを求める昨今の消費者に対して,大きくプラス面として働く.黒がより純粋な黒として表現されるのも有機ELディスプレイの特徴.
5G通信は高速化に伴い,多くの電力を消費することが予想されます.そのため端末内にバッテリー領域を少しでも確保するべく,ディスプレイを薄型化してその分をバッテリースペースに充てる.このような微調整も必要になると考えられます.
有機ELパネルは自ら発光する赤緑青の有機化合物を使って映像を表示する。バックライトを使わないため液晶パネルに比べて明暗比を出しやすく色鮮やかな映像を表示できる。
引用 : 日経新聞電子版より
有機エレクトロルミネッセンス/有機ELとは有機エレクトロルミネッセンス(ゆうきエレクトロルミネッセンス、OEL)、有機EL(ゆうきイーエル)とは発光を伴う物理現象であり、その現象を利用した有機発光ダイオード(ゆうきはっこうダイオード、OLED)や発光ポリマー(はっこうポリマー、LEP)とも呼ばれる製品一般も指す。
引用 : Wikipediaより
日経新聞の記事では,iPhone 12の画面サイズは,5.4インチ・6.1インチ・6.7インチの3種類(モデルは4種類)になると予想されています.(恐らく情報の出所は海外のApple系メディアだと思いますが・・・)ちなみに2019年に発売された現モデルのラインナップは以下のとおり.
- iPhone 11 Pro= 5.8インチ
- iPhone 11 Pro Max = 6.5インチ
- iPhone 11・iPhone XR = 6.1インチ
- iPhone SE = 4.7インチ
仮に現ラインナップからそのまま進化すると,iPhone 12 Pro は5.4インチの有機ELディスプレイを搭載したモデルになると考えることができます.あくまで予測の域ではあるものの,2020年発売予定のiPhone12シリーズは,一部のモデルがやや小型化する可能性があります.
- iPhone 12 Pro = 5.4インチ?
- iPhone 12 Pro Max = 6.7インチ?
- iPhone12(無印) = 6.1インチ?
- もう1つはどんなモデル?
海外のApple系メディアでも,ディスプレイサイズに対する見解は概ね一致している.例年どおりいけば,7月時点の噂やリーク画像はそこそこ信憑性のあるもの.「5.4インチディスプレイ + 小型ハイスペックモデル」には,ある程度期待していいかもしれません.
今回、アップルは次世代通信規格「5G」に対応した新型4機種すべてに採用を広げるもよう。画面サイズは5.4インチ、6.1インチ、6.7インチの3種類で、主にサムスンがパネルを供給する。
引用 : 日経新聞電子版より
As the launch of the “iPhone 12” inches closer, AppleInsider got its hands on dummy units of Apple’s upcoming phones which finally reveal how these new devices will look and feel.
引用 : Apple Insider
While the most recent rumors point to the “iPhone 12” coming in four sizes, we got our hands on dummies of three. We have the “iPhone 12” which measures 5.4 inches, the “iPhone 12 Pro” at 6.1 inches, and the “iPhone 12 Pro Max” at 6.7 inches. Missing is the rumored 6.1-inch “iPhone 12 Max,” which will be a new addition to the lineup.
以下は,上記テキストの翻訳
iPhone 12 “の発売が近づくにつれ, AppleInsiderは、最終的にこれらの新しいデバイスがどのように見えるかを明らかにするAppleの今後の携帯電話のダミーユニットにその手を得たと感じている.
引用 : Apple Insider
最も最近の噂は “iPhoneにポイントしている間 12” 4つのサイズで来る, 我々は3つのダミーに私たちの手を得た. 我々は、 “iPhone 12 “を持っている 5.4 インチを測定する, “iPhone 12 Pro” 6.1 インチで, そして “iPhone 12 Pro Max” 6.7 インチで. 欠けているのは、噂されている6.1インチの “iPhone 12 Max “です。
2020年以降のiPhoneは有機ELディスプレイが標準装備となる,この流れは間違いないでしょう.これによってスマートフォン用のディスプレイを製造する企業の勢力図が,大きく塗り替えられることになります.
有機ELは韓国のサムスン電子が大きな市場シェアを占めています.スマートフォン向けに限ると,シェアの9割を占めるというデータがあるくらいです.これに対して,これまでのスマートフォン向けだった液晶ディスプレイは,日本企業が大きなシェアを誇ってきました.「有機EL製造 = 追い風,液晶製造 = 向かい風」という図式に変わり,前述したとおりバックライトも不要となっていくため発光ダイオード(LED)を作っている企業もスマートフォン市場向けの出荷は先細っていきます.
英調査会社のオムディアによると、有機ELはサムスンが市場シェアの73.5%を握る。スマホ向けに限ると9割に達するとのデータもあり、圧倒的な供給量を強みにアップルと取引する。
引用 : 日経新聞電子版より
〈中略〉
日本の液晶パネル大手、ジャパンディスプレイ(JDI)は19年3月期にアップル向けの売上高が60%を占め、影響が大きい。バックライト向けに発光ダイオード(LED)を手掛ける日亜化学工業や、液晶材料をつくるDICも受注が減る恐れがある。
iPhone SEのように廉価版のスマートフォンでは液晶ディスプレイが使い続けられますが,今後数年でそれらのディスプレイも有機ELに置き換わる可能性は高い.現在スマートフォン業界で起こっている「液晶ディスプレイ → 有機ELディスプレイへの変革」この変革は少なからず,日本経済にマイナスの影響をもたらすことでしょう.