ラッダイト/ラッダイト運動/Luddite #IT用語辞典

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この記事は,ラッダイト/ラッダイト運動/Ludditeに関する記述をまとめたもの.

ラッダイト/ラッダイト運動/Luddite

ラッダイトとは,新しいテクノロジーがもたらす恩恵を理解していない人々,またはそのテクノロジーが浸透することにより不利益を被る人々たちを言い表す言葉.近年使われる「ラッダイト」には,情報弱者や愚か者といったニュアンスも含まれている.

「ラッダイトの誤謬」という経済用語まである.

「ラッダイトの誤謬」は,技術が進歩すると失業が大量に発生するという考え方のことで,経済学では誤りであると定義されている.

新しいテクノロジーがもたらす恩恵をまったく理解していない愚か者たちを言い表す言葉がある.「ラッダイト」だ.難しい言葉をやたらと使いたがる経済学者は,「ラッダイトの誤謬」という経済用語までつくっている.これは技術が進歩すると失業が大量に発生するという考え方のことで,経済学では誤りであるとされている.元祖ラッダイトは200年前にイギリスで戦域を打ち壊した,織物・繊維労働者である.

50(フィフティ) いまの経済をつくったモノ

元祖ラッダイトは,200年前にイギリスで繊維機を打ち壊した,織物・繊維労働者.

ラッダイト運動の指導者と目された『ネッド ラッド(Ned Ludd)』にちなんで,命名されている.

ラッダイト運動
イギリス産業革命期の機械打ちこわし運動.1822〜1817年,中部・北部の手工業者たちが生活苦や失業の原因を技術革新と機械導入によるものとして起こした.運動の指導者として目されたネッド=ラッド(Ned Ludd)にちなむ命名.ラッディズム.

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スティーブ・ジョブズや,アインシュタインの伝記を書いたウォルター・アイザックソンは,以下のように評している.これは恐らく多くの人たちにとっては事実である.しかし,ラッダイトを時代に乗り遅れてしまった愚かな人たちとしてしまってよいのだろうか.

当時,テクノロジーは失業を生み出すと信じていた者たちがいた.それはまちがいだっった.

Luddites fear humanity will make short work of finite wants

産業革命が起きて,イギリスが豊かになり,就業者の総数は増えた.生地・衣料品産業も例外ではない.

Luddites fear humanity will make short work of finite wants

まとめ/所感

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ラッダイトが運動を起こしたのは,機械が普及するとイギリスが貧しくなると勘違いしたからではない.機械が普及すると,自分たちが貧しくなると考えたからだ.ある意味この考えは正しく,運動を起こした熟練工たちは織り機が普及すると貧しくなった.熟練工のスキルの価値が下がり,訓練されていない労働者でも織物を生産できるようになったからだ.

新しいテクノロジーが普及する過渡期には,新しい勝者と敗者が生まれる.このことは歴史が証明している.「AI」「ブロックチェーン」「EV」のような大きなテクノロジーだけでなく,「iPhone」「Netflix」「Uber」のようなサービスもゲームチェンジャーとなっている.

新規のテクノロジー現れるとき,新しいサービスが急速に世界を覆い始めるとき,そして昨今のように自然の大きな影響によって世界が変化せざるを得ないとき.その結果として,誰が勝ち誰が負けることになるのかを冷静に見極めなければならない.

〈了〉

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SourceNotesと参考文献