Netflix 『監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影』の感想.SNSは我々にどのような影響を与えているのか??

Photo : iStock by Getty Images
この記事は以下のような人におすすめ
  • Netflixでおすすめのドキュメンタリーを知りたい
  • Netflixの『監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影』の口コミが聞きたい
  • SNSの中毒性に関する情報がほしい

↑を見てもピンと来ない人は,恐らくこの記事を読んでも面白くないと思います.ブラウザを閉じて,別のニュースをチェックするほうが有意義に過ごせます.

では本題.

Netflix 『監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影』の感想

Photo : iStock by Getty Images

Netflixのドキュメンタリー作品は,クオリティが高く秀逸なコンテンツが多い.最近見た『監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影』も,そんな例にもれずとても面白い映画でした.

内容は主に,SNSの中毒性に対しての警笛.SNSは人間の心理に対して非常にうまくプログラミングされていて,どれだけ注意を払っていても,どんどん中毒になっていくことが語られています.

特に興味深かったのが,そのSNSの開発を手掛けている人間でさえ,アプリに組み込まれた無数の仕掛けによりSNSにのめり込んでしまうということ.要は,ユーザーが中毒になるように仕掛けていている側の人々でさえも(その仕掛けを熟知している人たち),SNSにのめり込んでいくというのはとても以外な事実でした.

スティーブ・ジョブズが自分の子供達にSNSを使わせないようにしたことは有名な話ですが,それくらいネットの中毒性に人間は抗えないとうことですね.

ということで『監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影』は,テクノロジー業界に興味がある,またはSNSをちょっとでも利用している人にはぜひ見てもらいたい映画

1時間34分と,それなり見ごたえのある長尺のコンテンツ.しかし,面白いエピソードが随所に登場し,話の展開もそこそこ速い(テンポもいい)ので最後まで楽しく視聴できると思います.

Advertisements

『監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影』で,個人的に印象深かったシーンの紹介

Photo : iStock by Getty Images

以下は『監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影』の中で,個人的に特に気に入った内容の抜粋.ここまで読み進めた方は,きっと映画を気に入ると思いますので,Netflixで視聴しつつ参照程度にどうぞ.

心理学を学んだ天才たちによってデザインされたSNS

SNSアプリを開発しているシリコンバレーの天才たちは,心理学などを学び,人の心がどう動くかコントロールできるようにアプリをデザインしています.

どんなタイミングでどんな投稿が表示されると,ユーザーはその投稿を読むのか??.科学とAIがタッグを組んで,我々をSNSから離れられないようにしているのです.

5歳の時に手品を学んだ

どんな教育水準の高い大人もだますことができた
手品師は最初の神経科学者で心理科学者
人の心がどう動くかを初めて理解したんだ
彼らは人々に様々なことを試していた
手品師にはわかる
自分では気づかない無意識がね
だから驚かされる

医者や弁護士や核ミサイルを作る人でさえ
自分の心の弱さには気づかない
分野が違う
これは全人類に適用できる

Netflix 『監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影』

印象的だった「説得のデザイン」という言の葉

次は,「説得のデザイン」という印象的な言葉に続くシーンで語られる内容の抜粋.

SNSによくある,画面を下に引っ張るリロードの操作をしているとき,ユーザーは「なにか新しい情報があるかもしれない」とスロットマシーンを回している時に近い心理状態になっているそうです.非常に興味深いと感じました.

再読み込みすると新しい情報がでる
毎回そうなる
心理学では「正しいの断続的強化」と言う

報酬があるかどうかは分からないが
スロットマシーンと同じだ
意識的に使うだけでなく
深層心理にも浸透させて習慣づけをする
プログラミングされているように
気づかない

その人は
スマホを目にするたびに新しい情報があると思ってっしまう
そしてスロットを回す,偶然ではない意図的だ

Netflix 『監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影』

メッセンジャーアプリに仕組まれた離脱を防ぐ仕掛け

チャットツールでよく見るようになった,相手が返信中に表示される「○○さんが返信中…」の表示.実はこれもユーザーを夢中にさせる仕掛けのひとつ.

「○○さんが返信中…」と表示されると,相手が今返信を入力していることがメッセージを送った側にも伝わる.こうすることでメッセージ送信した方のユーザーが,アプリを閉じずに相手の返信を待つようになります.本来ならメッセージ送信後に別の作業をするはずだったユーザーを,SNSの中に留めておくことができます.

こんなところにも,離脱を防ぐ工夫がされているのです.

返信中の「…」も相手が返信中だとわかるような
(ようは画面から目を離さないようにするための)
心理的な仕掛け
こんなところまでデザインされている

Netflix 『監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影』

「顧客をユーザーと呼ぶ業界は2つだけ.違法薬物とソフトウェアだ」

最後に,とても強烈な印象を残した エドワード タフティ氏の言葉を紹介して,この記事を終わりにします.

顧客をユーザーと呼ぶ業界は2つだけ,違法薬物とソフトウェアだ

エドワード タフティ

Netflix 『監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影』

Netflix のオリジナルドキュメンタリー作品『監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影』は,SNSの中毒性に対しての警笛を鳴らすことを目的として作られたコンテンツ.ドキュメンタリー作品なので,もちろん事実に基づいた内容でしょう.

しかし,ここで紹介されているSNSの負の側面ばかりを見て,感情的にSNSやスマホを遠ざけるのはちょっと違うように思います.デジタル社会の持つ悪い側面をきちんと理解し,上手にSNSやスマホを活用することが,我々にとって必要なことだと考えます.

〈了〉

SourceNotes

  • Netflix: 監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影
Advertisements