2019年から2022年にかけて,『美の旅 西洋美術400年 珠玉の東京富士美術館コレクション』という美術展が開催されている.22年7月16日から9月4日の期間は,熊本県立美術館(本館)が会場だったので見に行ってきた.
この展覧会は,東京富士美術館にある多くの美術品の中から「油彩画の厳選された作品によって西洋絵画の歴史を紹介していく」がテーマらしい.自分のような,美術史に興味をもったばかりの,美術や芸術に対してライトな層でも楽しめる展覧会だと感じた.
展覧会は基本撮影禁止ではあるが,モネの『睡蓮』を含め5つの作品は写真OKとなっていた.これらの作品を間近で鑑賞し,思い出としてデータで残しておくこともできるので,とても満足している.もちろん会場での鑑賞中も,充実した時間を過ごすことができた.
撮影可能だった作品は,以下の5点.
- 『サン=ベルナール峠を越えるボナパルト』ジャック=ルイ ダヴィッドの工房
- 『シルクのソファー』ミケーレ ゴルディジャーニ
- 『花』ジャン=バティスト モノワイエ
- 『赤い服の女』ピエール=オーギュスト ルノワール
- 『睡蓮』クロード モネ
展示会では,絵画の他にも多くのテキストが添えられていたが,個人的に一番勉強になったのは,順路のはじめにまとめてあった「絵画のジャンルとランク付け」の内容だった.
19世紀前半くらいまでの絵画では,「そこに何が描かれているか」という内容で絵画の価値が決まっていたらしい.現在は,「何が描かれているか」ではなく「誰が描いた(つくった)作品か」が重要なので,現代の感覚からするとピンとをこないかもしれない.
最も価値が高かったのは「歴史画」で,歴史を含め神話や聖書などの物語(テキスト)の一部をビジュアル化したものがこのジャンルに該当する.
歴史画の次に価値が高いのは,王侯貴族など身分の高い人々を描いた「肖像画」.続いて,名もなき一般の人たちを描いた「風俗画」,次が自然や都市を描いた「風景画」となる.最下位におかれるのは,命のないモノを描いた「静物画」だ.
写真の原点である西洋絵画を見ていると,今まで関心のなかった被写体に興味がわいたり,新しい構図で撮影したくなることが頻繁にある.写真やカメラが好きな人は,美術館へ足を運んでみることをおすすめします.
<了>
SourceNote
- 珠玉の東京富士美術館コレクション