2025年に入ってから,僕はいわゆる「文房具沼」にハマっていて,筆記具やらノートやら,シールや付箋紙やら──と,様々な文房具を購入して過ごしている.
その中でも特にお気に入りなのが,『トラベラーズノート』というシンプルなノート.購入してからまだ2ヶ月ほどだがすっかり気に入って,相棒のようにどこへでも連れて出かけている.
コンセプトのしっかりしている製品なので,気になる人にはぜひ試していただきたいと思っている.
この記事では,そのトラベラーズノートの魅力を僕なりに紹介していきたい.
コンセプトや歴史,カバーとリフィルの特徴から,実際の使い方やカスタマイズ例まで,文房具好きの視点でレビューするので,購入を検討している人や使い方に迷っている人の参考になれば幸いだ.
トラベラーズノートとは?(コンセプトと歴史)
トラベラーズノートは,牛革カバーとノートリフィルというシンプルな構成で,使う人の好みに合わせて柔軟にカスタマイズできるのが特徴だ.
気軽に持ち運べる相棒のようなノートを探している人には、きっと魅力的に映るだろう.
お気に入りのノートを探している人は,ノート選び候補としてぜひ加えてもらいたい.
使い込むほどに味と風合いが高まる革素材のカバーと,書きやすさに徹したシンプルなノート.手にとって旅に出たくなる,そんなノートを目指しました.旅の途中,ふと立ち寄ったカフェで,感じたこと,思いついたことを気ままに書き留めてください.それが,あなたにとって貴重な財産になるはずです.また,このノートを携えて歩くことで,日常を旅するような気持ちで過ごしてみてください.毎日見ている景色の中に新しい顔を見つけられるかもしれません.
革製カバーはタイの北部の都市チェンマイでひとつひとつ手作りで作られています.革を大胆にカットして,ゴムをスズ製のパーツで留めただけのシンプルな作りですが,さり気無い自己主張を感じるカバーです.中のノートは,筆記性を追求して作られてオリジナルの紙,MD用紙を使用し,日本国内で丁寧に作られています.
替えリフィルをご用意していますので,永く使ってください.革の風合いが変わり,付いた傷が思い出となって刻まれるころ,あなたにとってこのノートがかけがえのないものになっていることでしょう.引用:トラベラーズノート同梱品より
僕はここに書かれている「このノートを携えて歩くことで,日常を旅するような気持ちで過ごしてみてください.毎日見ている形式の中に新しい顔を見つけられるかもしれません.」の部分が気に入っている.
旅をするような気持ちで日常を過ごす.よいコンセプトだと感じた.
最近,スマホやパソコンのメモをやめて,紙のノートとペンでアイデアを書き留めておくスタイルに変えた.
それからは,ノートを極力持ち歩くようにしている.そんな僕にとっては,このトラベラーズノートのコンセプトは,しっくりくる言葉だった.
トラベラーズノートの歴史
ノート選びをするうえで,「そのノートが長く使える定番になり得るか?」という点も気になるだろう.
ここで簡単に,トラベラーズノートがどのような歴史を辿ってきたかをまとめておこう.
- 2006年 トラベラーズノート発売
- 2009年 パスポートサイズを追加
- 2011年 中目黒にトラベラーズファクトリー(旗艦店)をオープン
- 2015年 ブランド名を「ミドリ」から「トラベラーズカンパニー」へ変更
- 2016年 トラベラーズノート10周年
- 2018年 ノートのカラーが4色に(定番色としてブルーが追加)
- 2019年 ブラスクリップや新しいリフィルが追加
- 2021年 トラベラーズノート15周年
見て分かるとおり,トラベラーズノートは来年で発売から20周年を迎える.コクヨやモレスキンなどと比べると歴史は浅いと感じるかもしれないが,20年続いているというのは,すでに定番のノートとして十分な安心感がある.
また,2025年には「LOVE AND TRIP」をテーマにした限定版の赤い革カバーモデルが登場するなど,毎年ファンを楽しませる新たな展開も続いている.
それでも,基本となるシンプルさと自由度の高さというコンセプトは,発売当初から一貫しているように思う.
カバーとリフィルの特徴
トラベラーズノートはシンプルなつくりで,基本要素はカバーとノートリフィルだけ.トラベラーズノートを購入したときも,これにコットン製のカバーが付属されている程度だ.それぞれの特徴を少し掘り下げてみよう.
まずは革のカバーから.
カバーは,タイの北部の都市チェンマイでひとつひとつ手作りでつくられている.チェンマイは古都として栄えていた歴史があり,伝統的な工芸品をつくる工房など,ものづくりの拠点が多い.
加工にはクロームなめしなどの化学薬品は使わず,ナチュラルな風合いになるように,植物性の原料でなめした革が採用されている.
植物性の原料で加工した革は,手間やコストはかかる反面,環境に優しく使うほどに経年変化を愉しむことができる.
また,カバーにはゴムバンドとスズ製パーツだけでノートを留めるシンプルな仕組みが採用されている.余計な留め具を使わないミニマルな構造で,かえって飾らない格好良さを感じさせるのも特徴だ.
サイズも,「レギュラー」と「パスポート」の2種類だけ.カラーは「黒」「茶」「キャメル」「ブルー」の4色.どちらのサイズでも4色展開している.
一方のリフィル(中のノート)は,日本国内で生産されている.千葉にある流山工場で,印刷・加工・製本・検品まで一貫して手がけており,高品質なMD用紙が使われている.
通常はオフセット印刷だか,一部のリフィルは昔ながらの活版印刷を採用しているこだわりようだ.
リフィルの種類は,当初4種類からスタートしたが,現在では定番アイテムだけで30種類以上が展開されている.無地,横罫,方眼,画用紙,軽量紙,クラフト紙など,紙質や仕様もさまざま.週間ダイアリーや月間ダイアリーといった手帳リフィルも含め,用途に応じた選択肢が豊富だ.
主なリフィルの種類を挙げると,例えば次のようなものがある.
- 無地や横罫など基本的なノートリフィル
- スケッチ用の画用紙リフィル
- 軽量紙(薄くページ数の多いノート)リフィル
- クラフト紙やトレーシングペーパーなど個性的な用紙のリフィル
- 週間ダイアリー,月間ダイアリーなどスケジュール管理用リフィル
このように自分の好みや用途に合わせて自由に選べるのも,トラベラーズノートの大きな魅力の一つだ.
トラベラーズノートの使い方
では,僕が実際どのようにトラベラーズノートを使っているのかを紹介しよう.リフィルを以下の構成で使っている.
購入当初は無地にするか横罫にするか,あるいはクラフト紙も面白そうだとリフィル選びに悩んだが,色々と試して最終的に今の構成に落ち着いた.
現在,僕のトラベラーズノートには以下のリフィルをセットしている.
- 無地リフィル(MD用紙クリーム) ─ 万年筆でも書きやすいクリーム色の無地ノート
- 週間バーチカルダイアリー ─ 1週間の予定を書き込める手帳リフィル
- ジッパーケース ─ 切符やカード,シールなどを収納できるジッパー付きポケット
上の写真は,実際に僕が使っているトラベラーズノートの中身.
ジッパーケースのポケット部分には,付箋紙や免許証,クレジットカードと数枚の千円札を入れてある.
ペンホルダーは使わず,万年筆をクリップでリフィルに挟んで持ち歩くスタイルだ.
リフィルは,3冊までは綺麗に挟めるため,このように手帳リフィルとノートリフィル,さらに収納としてのジッパーケースをセットして,自分好みの構成で使うことができる.
トラベラーズノートを購入したあと1〜2週間くらいは,無地,罫線あり,クラフト紙あたりで悩んでいた.今は,手持ちの文房具や自分のノートの使い方と相性を考えてここに落ち着いている.
ちなみに,無地のリフィルをMD用紙 クリームに決めたのは,万年筆と相性の良さを重視したからだ.
実際,クリーム色のMD紙は,インクの滲みにくさ,発色のよさ,インクの乾きやすさ,裏抜けのしにくさなど万年筆ユーザーにとって理想的な書き心地を実現してくれている紙だ.
この記事を読んでくれているあなたも,もしお気に入りに筆記具があれば,そのインクとの相性を意識しながら最適なリフィルを選んでみてほしい.
どんなペンで,どんな紙に書くか──,それをあれこれ考えることも,ノート作りの醍醐味だと僕は思う.
トラベラーズノートのカスタマイズ(トラベラーズノートの愉しみ方)
トラベラーズノートのもうひとつは魅力は,ノート自体を自分好みにカスタマイズできる点だ.ブラス(真鍮製の)ペンや定規,リフィルを増やす連結バンド,カバーを彩るチャームやステッカーなど,関連アイテムが非常に充実している.
実際僕も,トラベラーズノート本体と一緒にいくつか関連製品を購入して試してみた.
ここでは,実際に購入して現在でも使っているものには「○」,使わなくなったものには「×」を付けて紹介する.これからトラベラーズノートを使ってみようと考えている人の参考になれば幸いだ.
- ブラスクリップ (○):真鍮製の大型クリップ.ノートを開いた状態でページを押さえておくのに必須のアイテムだ.ページを固定できるので机がない場面でも書き込みしやすく,真鍮の質感とクラシックなデザインも相まってノートに付けるだけで高い満足感がある.初めてトラベラーズノートを使う人にもぜひ一つは手に入れてほしいお薦めのアイテム.
- リフィル連結バンド (×):複数のリフィルをノートにまとめてセットするためのゴムバンド.リフィルを2冊以上挟みたい場合には便利だが,僕の場合はジッパーケースの片側ポケットに2冊目のリフィルの表紙を差し込む形で代用してしまった.そのためせっかく購入したものの出番がなくなっている.最初から複数のリフィルを挟む予定がないのであれば,急いで用意しなくてもよいだろう.
- リペアキット (○):ノートのゴムバンドや留め具(スズ製パーツ)の交換用セット.長く使っているとゴムが劣化し切れてしまうこともあるが,これがあれば自分で簡単に取り替え可能.僕も予備として購入しており,実際にゴムバンドの色を替えるプチカスタマイズを楽しんだ.すぐに必要になるものではないかもしれないが,いざという時の安心のため初心者でも持っておいて損はないと思う.
- ブラス万年筆 (×):トラベラーズノートのサイズにピッタリの真鍮製の携帯万年筆.見た目はお洒落で所有欲をそそるが,正直なところ書き味は国内メーカーの一般的な万年筆と比べてしまうと劣る印象だった.そのためペンホルダーとセットで購入したものの,次第に使わなくなってしまった.ただしコンパクトで持ち運びやすいので,初めての万年筆として試してみる分には面白いかもしれない.
- ブラス定規 (○):真鍮製の15cm定規.ノートと一緒に携帯しやすい小型サイズで,メモ時にサッと線を引いたりページの端を折り目付けしたりと何かと役立つ.何より真鍮製品が増えることで統一感が出て,道具を使い込む楽しさが増すのも魅力だ.絶対必要というわけではないが,文房具好きであれば持っていて損はないだろう.
- ペンホルダー (×):ノート本体にペンを固定するためのクリップ式ホルダー.僕はブラス万年筆と同時に購入したが,その万年筆自体を使わなくなったこともあり,ペンホルダーも出番がなくなってしまった.普段使いのペンを常にノートに挟んでおきたい人には便利な一品だが,ペンは別で持ち歩く派だったりノートをできるだけスマートに使いたい人には必須ではないだろう.僕は最終的には,リフィルの表紙にペンを挟んだり,ゴムバンドに差し込んだりして持ち運んでいる.
色々な関連アイテムを試した結果,今ではブラスクリップとお気に入りの筆記具,それに必要なリフィル数冊程度のシンプルな構成に落ち着いている.
トラベラーズノートは,自分に本当に必要な要素だけを選んでミニマルに使っても良し,または豊富なオプションで盛りだくさんにカスタマイズしても良し──まさに自由自在.
その柔軟さこそが、このノートの醍醐味と言えるだろう.
最後に
「トラベラーズノートは,好きなことを綴るのに適したノートだと思っています」と,トラベラーズノートの生みの親である飯島 淳彦氏は,トラベラーズノートオフィシャルガイドに書いている.
トラベラーズノートは,好きなことを綴るのに適したノートだと思っています.
トラベラーズノート公式ガイドブックより
自分にあったノートを探していた僕にとって,トラベラーズノートはまさにそんな「好きなことを綴るノート」になってくれている.10年も20年も先まで,長い間大切に使い続けていきたいと思う.
ちなみにトラベラーズノート初の公式ガイドブック(KADOKAWA刊)も発売されており,開発者インタビューや世界中のユーザーの活用例が詰まっている.
興味がある人はチェックしてみると,新たなアイデアや発見があるかもしれない。.
もしこの記事を読んでトラベラーズノートに興味を持ったなら,ぜひ実際に手にとって自分だけの使い方やカスタマイズを見つけてみてほしい.
トラベラーズノートと共に,あなたも日常という旅を存分に愉しんでもらえると嬉しい.
了.
リンク:トラベラーズノート公式ガイドブック(Amazonアフィリエイトを使用しています)